現在、南米では最後の国であるブラジルの商業都市サンパウロに来ています。
ブラジルの某広告会社で働く方と話をしていたら、ここサンパウロでは屋外広告を一切禁止しているとのことでした。確かに、サンパウロに入ってから屋外広告を目にしていません。地下鉄の駅内での広告展開は当たり前のように存在しているし、車両広告もありますが、街を歩いていて広告を見掛けることは無いのです。これには正直かなり驚きました。
フィリピンの首都マニラのビジネス区域でも屋外広告を禁止している場所はあったけれど、ここサンパウロでは市全体というのだからすごいことです。
話を聞くと、昔から駄目だったわけではなく、どうやら2007年1月1日から始まった街の景観美化運動の一環で、サンパウロの市長の判断で屋外広告の禁止条例が出たとのことです。プロジェクト名は「グリーンシティプロジェクト」とのことです。
店舗の看板などもサイズを厳しく規定されているようで、この街ではお店がなかなか目立たないため、発見するのがちょっと困難だったりします。
街を走るバスなども南米各国で外装ラッピング広告などが盛んだったのですが、確かにここサンパウロでは見掛けませんでした。外装広告は駄目で、実施できるのはバスの車内広告のみとのことです。違反をすると厳しい罰則(罰金)が待ち受けているとのことでした。
ブラジルの広告会社で働いている人にその影響について尋ねると、屋外の大型ビルボードなどを利用できなくなったので、地下鉄内のメディアスペースの拡大と、イベント運営、街頭サンプリングなどのセールスプロモーション面に力を注ぐ企業が増えたとのことです。
そのため、サンパウロで企業が宣伝をする際には屋外広告ではなく、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、インターネットを中心に展開されるそうです。
なお、サンパウロ市のみがこのような条例をとっており、リオデジャネイロやブラジリアなどの他のブラジルの都市では屋外広告は問題ないとのことです。
世界にはそんな街もあるのですね……。ちょっと驚きました。サンパウロを訪れたひとりの旅人としての感覚ですが、正直確かに大型看板等がないことで街に騒がしさは感じませんが、ちょっと寂しい気がするのも事実です。ただ、ブラジルの法律や条例はまたいつ変わるかわからないとのことで、次の市長になれば変化が起こるかもしれませんね。
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