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コラム

企画を通すコツ~オリエンからプレゼンまでの時間の使い方

オリエン準備で勝負が決まる(前編)

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第1回「企画のレシピ」で、企画とは、(課題)×(解決策)=(目的達成)と定義しました。第2回「勝てる企画の時間割」では、オリエン準備~コンセプトメイクに30%、実施案に40%、企画書作成~リハーサルに30%、という時間配分が「勝てる時間割」だとお勧めしました。

さて、今回から実践編です。オリエン準備からリハーサルまで段階を追って、僕なりのコツを紹介していく予定です。まずは、企画提案のスタートラインである“オリエン準備”から。大切だと分かっていながら、忙しいとついつい疎かにしがちな“オリエン準備”ですが、皆さん、ちゃんとやっていますか?

ヒントは、“構造”の中にある?

僕は、社会に溢れている“問題”のほとんどは、“構造的問題”だと見ています。構造的問題とは、つまり「仕組」の動作不良です。原因は、運用ミス、経年劣化、環境変化、などケースバイケースですが、問題解決の考え方は不変的で、大別すれば

  1. 新しい仕組をフルスクラッチしなければ解決できないケース
  2. 現在の仕組の一部をアップデートするだけで解決できるケース

基本、この2通りの組み合わせです。フルスクラッチが必要か、それとも、アップデートで済むのか、その判断(=“コンセプト”)さえ正しくジャッジできれば、企画は、思いのほかスムーズに進められ、また、効果が期待できるものになります。そのためには、初動の取組みとして、前提となる構造(=“現在の仕組”)をきちんと把握しておく必要があります。僕が「勝てる企画の時間割」の起点に、オリエン準備(=現在の仕組の把握)を置くのは、そういう理由です。

サボると、どーなるか?

誰でも一度くらいは病院のお世話になった経験があると思います。初めて行く病院では、採血したり、レントゲンを撮ったり、体のあちこちを、まず検査しますよね。医者は、その検査結果を元に… 患者の症状を把握し、病名を診断するわけです。今回のお題であるオリエン準備(=現在の仕組の把握)は、まさにコレにあたります。仮に、医者がこの“検査”をサボったらどうなるか、想像してみてください。言うまでもなく、誤診のリスクが高まります。治せる病気も治りにくくなり、結果、患者はよその病院へスイッチしてしまうかもしれません。これでは、医者にとっても、患者にとっても、BADエンディングです。キャストを置き替えれば、企画提案の場合にも同じことが言えます。ちょっと大げさな喩え話ですが、オリエン準備をサボっただけで、本当にこんな結末になるとしたら…、もったいないとは思いませんか?

クライアントは、教えてくれない

皆さんもよくご存じの通り、“オリエン”とは、クライアントが、企画の目的、現状の問題点や課題、予算などの諸条件、について説明してくれる場です。ここがポイントなのですが、僕の経験上、オリエンの場で“ビジネスの仕組”について詳しく説明されることは、ほとんどありません。

クライアントにとっては、空気のように当たり前のことなので省略されるんだと思います。もちろん、質問すれば一応は答えてくれるのですが、あまり基本的な質問は、コチラもしにくいものですし、あまり深い質問は敬遠されてしまうことがあります。結局、ビジネスの仕組ついては、自習するしかないわけです。

オリエンの前にやるか、オリエンの後にやるか、これは重大な選択ではありませんが、オリエンの場を有効に活用するためにも、また、勝てる時間割の観点から見ても、オリエン前に実施した方が、間違いなく有効だと思います。オリエン後に現在の仕組を把握する時間割だと、単純にその後のタスク(コンセプトメイク⇒実施案⇒プレゼン準備)に費やせる時間が少なくなってしまいます。時間は勝負ドコロの後半にとっておくほうがベターです。

さて、引き続き、仕組を把握する実作業的なコツについて、お話をしたいところなのですが、今回は、前段を長く書き過ぎてしまったので、続きは次回ということにいたします。

上塘 潤一郎「企画を通すコツ~オリエンからプレゼンまでの時間の使い方」バックナンバー