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コラム

ネットで人気者(もしかしたら嫌われ者かも)になるネタの生まれ方

津田大介氏の拡散力から学ぶ「想定読者」と「その先の読者」

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これまで「ネットで流行る『ネタ』」について色々と書いてきましたが、ネタ以外に重要なのが「どこにリンクが貼られるか」という点です。言い換えれば「誰に紹介してもらうか」ということでもあります。

大手ポータルや2ちゃんねる、芸能人ブログなどにリンクが貼られると多数のアクセスがあるわけですが、現在発売中のカルチャー誌『ケトル』(太田出版)10月号に気になる記述がありました。「ITの話はビールを2杯飲んでから」という鼎談内でコンデナスト社のデジタルカントリーマネージャーである田端信太郎さんがこう語っています。

「実は最近『GQ』のサイトのトラフィックを見ていて驚いたんですが、津田さんがTwitterで紹介すると直後20分間くらいすごくアクセスが増えるんですよ!Yahoo!トピックスのサブカテゴリとかで紹介されるより、津田さんのRTの方が波及力がある」

津田さんが紹介し、圏外だったブログが154万5208ブログ中2位になった

ここでいう「津田さん」とはジャーナリストの津田大介さんのことですが、私も自分のブログで、これを今年の3月に実感しました。私のブログは月に1回しか更新しない“過疎ブログ”でもあり、一日の平均PVは大体180~300程度でした。gooブログのランキングでは「圏外」が定位置で、更新した時だけ2000程度のPVが来る程度でした。

それが、今年3月1日に

電通がフェイスブックと提携したな。これから何が起こるか、5個書いておくぞ。でもあんまり真に受けるなよ-ウェブはバカと暇人のもの

というエントリーを書いた時は、5日ほどかけて約27万PVを獲得。津田さんがツイッターで紹介した日は11万4340PVで、154万5208件あるgooブログの総合ランキングで2位となるほどでした(画像参照)。津田さんはこのエントリーを書いた当日にツイッターで紹介してくれたのですが、275回リツイートされ、ブログにアクセスが殺到し、さらには私のツイッターのフォロワーも数百人増える事態となりました。

結果的にブログのこのエントリーは10月17日現在4799回ツイートされ、はてなブックマークには1587件のブックマークがつき、フェイスブックの「いいね!」は829回となりました。さらには相変わらず“過疎ブログ”ではあるものの、一日平均PVは400~600に底上げされました。こうした実体験があるだけに、田端さんの発言には同意できるのです。

この件が教えてくれるものとしては「ある程度影響力あるサイト・個人に気にいってもらえるコンテンツを意図的に作る」ことです。サイトを作ったり、キャンペーンをやる時は「想定読者」を意識するのは当然のことながら、その先の読者――「想定インフルエンサー」についても考えなくてはならないのです。

ネット上の話題の多くはなんだかんだいって2ちゃんねるから生まれている

私も現在ニュースを編集するにあたっては、複数サイトで編集をしているため「若いサラリーマン男性」「中年サラリーマン男性」「中高生男女」に向けた書き分けをしています。

しかし、その先にある一つの「想定インフルエンサー」は私にとっては2ちゃんねるユーザーなのです。企業の方々はとかく嫌いがちな2ちゃんねるですが、別に罵詈雑言に溢れているわけでもないし、まったりとした空間で人々が大喜利大会のように面白いことを言い合っている場でもあります。

なぜ、彼らを重視したかというと、ネットの話題は彼らから生まれることがあまりにも多いから。そして、忘れてはいけないのは、彼らの多くは「真っ当な感覚と常識を持った人々」である点です。だから、彼らが面白いと思うものはあなたも面白いと思うし、彼らが怒りを覚えることはあなたも怒りを覚える、ということです。

2ちゃんねるで盛り上がると、当然自分のサイトにアクセスが戻ってきますし、ここの内容が盛り上がることにより「まとめブログ」でまとめられます。これがツイッターやブログで紹介され、ネット上で話題になり、さらにアクセスをしてもらえる好循環がもたらされます。

以下、2ちゃんねるを完全に意識して編集した記事です。いずれも相当盛り上がり、リンクが各所に貼られ、相当数のアクセスが私達のサイトに戻ってきました。

  • 徳大寺有恒氏「女にモテる車を作れば若者の車離れは止まる」
  • 日本の田舎町の小学生 訪れた黒人男性に「オバマ」コールする
  • 大宙(てん)希星(きらら) キラキラネームに先生頭悩ます
  • 来年の九州大学数学科後期入試募集 9名の内女子枠5名
  • 男性器 日本人は米国人より0.1cm、韓国人より3.4cm長い

ポイントはここでは述べません(笑)が、キャンペーンサイトを立ち上げる時など、「直接の読者」と「直接の読者に影響を与える人」のことも考えることによって、より多くの人に訪問してもらえ、さらには想定していなかった層のユーザーにも関心を持ってもらえることでしょう。

あ、ちなみに冒頭で紹介した「ケトル」では津田さんと宣伝会議編集長・谷口優さんのツーショットを見ることができます。

中川淳一郎「ネットで人気ものになるネタの生まれ方!」バックナンバー