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コラム

若手起業家、世界一周へ

インドの安宿から学んだこと

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僕はバックパッカーです。
たまには贅沢をするとしても、一番コストとなる滞在先の宿については常に安宿を求めています。
勿論、安いのには理由があって、掃除が行き届いていない、ベッドがボロい、日当たりが悪い、セキュリティが甘い等、様々です。
それでも安さを求めるのは多くの旅人の本能でしょう。

India-Mumbai

ムンバイの1泊450円のシングルの部屋です。清潔でしたが狭い…


India-Bangalore

インドのインスタント麺市場でトップブランド「マギー」と闘う日清食品のブラ ンドTOP RAMEN


ボロ宿のドア

サダル・ストリートのボロ宿のドア。隙間空いています


飲み水

インドの某安宿でサービスと言われて渡された飲み水。…飲みませんでした


「ここに小便するな!」

サダル・ストリート横の路地。「ここに小便するな!」インドは立ちション天国です


ソフトクリーム15円

インドのマクドナルドではソフトクリーム15円

そんな僕はインド東部の大都市コルカタに滞在していた時でした。
コルカタには世界中の旅行者が集まるサダル・ストリートという安宿街があります。
僕もそこに宿泊をしていました。1泊300円ほどの宿です。
もちろん、お湯は出ません。トイレに紙はありません。汚いです。室内はラクガキばかり。一言でいえば、味がでています。

僕は外国人旅行者が集うサダル・ストリートから離れた場所であれば、インド人が泊まる為のもっと安い宿があるのではないかと宿探しをしました。

ところが驚くことに、数軒まわったのですが、サダル・ストリートにある安宿よりも値段が高い…。
1泊1000円以上するところばかりだったのです。
立地は良くないし、設備もさほど変わらないボロ宿なのに、高い・・・
しかし、その宿には外国人はいないようで、インド人ばかりが泊まっているようでした。
インド人が泊まっている宿で、1泊1000円は有り得ない…。
お茶1杯10円以下で呑める国、物乞いが多く存在する国、貧しい人達が山程存在する国…
そんなインドのボロ宿なのにサダル・ストリート以上に高いなんて・・・商売成り立つのか?!
外国人だから値段をふっかけられているのか?そう思っていました。

その翌日、カウチサーフィンを使って知り合ったインド人にコルカタの街を案内してもらっていたのでした。
彼は広告会社勤務で、いわゆるインドの中上流層に位置する人でした。
彼に質問してみました。
「サダル・ストリート以外の安宿が平気で1000円以上するのだけれど、それで宿泊客いるの??普通のインド人じゃ1000円なんて払えないんじゃ…?」

彼は明確に答えてくれました。
「はっはっはっ!もちろん、普通のインド人はホテルになんか泊まれないよ。今のインドの普通レベルはまだまだ貧しいからね。でもね、この国には5%前後の金持ちがいるんだ。最近、高い所得を貰い始めた人達だって凄い勢いで増えているんだ。ここでポイントなのはインドの人口。10億人以上いるインドで5%いれば、5000万人以上いるってことでしょう?つまり、5000万人はホテルに1泊1000円以上のお金を支払って泊まっているような人達。もちろん、”普通のインド人達”はホテルになんか泊まるお金はないし、そもそも自分の町から旅行にいかない人がほとんどだよ。そして今、君が泊まっているような数百円の宿、僕でも泊まったことがないよ!(笑)」

…なるほど。
日本は1億総中流と呼ばれ、経済格差も他国に比べると大きくはないイメージがある。
その為、ひとつの事象を一般論に当てはめようとしてしまうことが多々ある。
しかし、経済格差の著しいインドではそうはいかない。

よくよく考えれば気づく当たり前のことなのに、僕はインドの喧騒の中で見失っていました。
そして、インドという国のポテンシャルの大きさと混沌を、あらためて感じるのでした。

…さて、何を言いたいかというと、人口10億人を超えるインド市場。
そこには日本人並の所得・生活水準を持っている人達も多く存在します。
パーセントではなく、人数で考えると日本とさほど変わらないかもしれません。

前回のコラムで紹介をしたインドの味噌汁も1杯60円します。
いわゆる”普通のインド人”では手が届かない価格帯です。高額商品になります。
しかし、それでも買えるお金を持つ人達がドンドン増えているのです。

日本では経済産業省の後押しもあり、BOP(低所得者層向けビジネス)が注目されていました。
それも間違いなく大きな可能性ある市場です。インドでも日清食品などが果敢に市場で闘っています。

しかし一方で、近い将来に1億人を超えるであろうインドの新たなお金持ち市場をターゲットに活動していくことも、忘れてはいけないポイントだなと。
中国に次ぐ経済大国として注目され続けているインド、今のところ中国に比べると日本企業の進出数はまだまだ少ないです。
逆に言うと、まだまだインド市場にチャンスが眠っているのかもしれませんね。

以上、インド人も泊まりたくないようなボロ宿で、ダニに刺されたことのある太田でした…。

参考資料:

  1. インド新聞
  2. 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
太田英基「若手起業家、世界一周へ」バックナンバー

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