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コラム

CSR視点で広報を考える

熱い米国人ブログに見る日本の素晴らしさの再発見

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日本はまだまだ捨てたもんじゃない

最近、米国人によるブログが熱い! 「insidejapanblog」通称IJTブログでは毎日日本の文化、ビジネス事情、観光情報など、日本におけるホットな話題が投稿されている。その中でも「10 Reasons why Japan is so great」という投稿がひときわ目を引いている。この投稿が始まったのは今月12日で、現時点(20日)の段階で8つの日本の魅力について語られている。

第1の魅力は「文化」。飛行機のタラップを下りた瞬間から、日本の文化が他の国のそれとは全く違うことを肌で感じるという。それは見、聞き、感じ、味わう全ての五感でこれまでにない感動を経験する。礼儀正しく行き交う人々、着物に代表される伝統衣装、神社仏閣や靴を脱ぐ作法など、数えきれない多くの文化的特徴に圧倒されるという。

第2の魅力は「公共運送機関」。日本は新幹線を始めとして、非常に時間に正確な運送機関を提供している。どこに行くにも、電車だけでなく、バスやフェリー、地下鉄やケーブルカーに至るまで、あらゆる運送機関が時間に正確であり、旅行のプランが立てやすいことを伝えている。東京では秒単位で運行している電車もほとんど遅れがなく膨大な乗客を乗せていることに触れて、他の国ではありえないこととしている。また、電車の社内は非常に清潔かつ快適で、席まで来て車掌が丁寧に切符の確認をしたり、乗務員が弁当やスナック、飲み物を売りに来たりと日本独特のこまめな対応に驚かされるという。

第3の魅力は「国民性」。日本人の多くは勤勉であり、礼儀正しい。日本ではどの店に入っても、それなりに一流のサービスが提供されるという。対応のレベルの高さと気配りという点で日本人は非常に優れていると語られている。ラーメン屋であろうとコンビニであろうとスタッフはその仕事にプライドを持ち、顧客に最高のサービスを提供しようと努力している。外国人顧客に対してもそれは同様にもてなされるという。

第4の魅力は「安全性」。東京のような世界屈指の経済都市で、深夜、何の恐怖感も持たず、サラリーマンや若い人々が街中を食べ歩いたり、飲んだりすることができること自体、世界でもまれな安全な国であり、その犯罪の少なさに驚かされるという。さらに、田舎に行けば自宅のドアに施錠すらしない風習があることや空き巣や強盗の危険にもほとんど無関心でいられること、さらに宿泊施設などの一部には未だに金庫が常設されていないなど、他国では考えられないことだ、と紹介している。

第5の魅力は「日本独特の食の文化」。米国人筆者は特に日本独特の食文化に感心している。東京、大阪、京都などに散らばる食の名店の多くがミシュランで高い評点を得ており、その数は世界のどの国にも勝るという。それだけ各店の質が高く、かつ日本食には他国の食文化とは異なる多様性が見出されるという。また、寿司に代表される日本食においても厳選素材にこだわり、回転寿司では安価で美味しい寿司が安定的に供給されている点にも触れて日本の技術の高さを評価している。また、たこ焼き、お好み焼き、焼鳥、ラーメン屋、丼もの屋など、日本独特の色々な食材や料理を提供している点にも触れて日本の食文化の奥深さにひときわ関心を寄せていた。

第6の魅力は「自然環境」。日本の陸地の約70%は山々であることに触れて、その緑地の多さ、自然環境の持ち味を紹介している。沖縄から北海道に至るまでの環境の違いやそれぞれが持つ景観の素晴らしさなど、日本の優れた自然が提供する癒しについて語られている。特に田舎では古い街並、温泉、山々、神社などが、自然とあいまって独特の雰囲気をかもしだしていると紹介している。

第7の魅力は「利便性」。幾つかの例を出して紹介している。例えば「自動販売機」。日本ではどこでも大体自動販売機が設置され、冷たい飲み物、温かい飲み物、温かい食事といった非常にバラエティに富んだ食材、飲料の自動販売機があり、びっくりさせられる。また、現金以外にも「Suica」などのICカードや電子マネーで購入できる点にも日本人の利便性への配慮がうかがわれた。他にも、トイレの便座が自動的に開いたり、閉まったりという仕組み、コンビニが至るところにあり、24時間ほとんど必要なものが購入できる点、タクシーのドアが自動的に開いたり、閉まったりという点などの事例を挙げて、日本人の類いまれな配慮と気配り、利便性の追求に感嘆している。

第8の魅力は「対称性」。日本の古い文化・伝統に象徴される神社仏閣・庭園などと新しい高層ビルとの対称性。まさに新旧文化の合体によるシンクロ作用が日本独自の環境を生み出しているという。喧騒な地域とは無縁な神社などに囲まれる柴又地区とその間を縫う路面電車のシンクロ風景などもその一例という。

日本人より日本を理解する外国人に学べ

私が早稲田大学の比較文化の卒業論文を書いていた頃、しきりに日本文化についてルース・ベネディクトの「菊と刀」を読めと言われ、外国人から見た日本の「恩や義理」の捉え方について学んだが、ある種偏見の目で見ざるをえなかった。しかし、現代社会では自由に自分の意見や考えがネットを通じて発信でき、その影響は無限に広がりつつある。かつては日本の文化を外的な批判を意識する「恥の文化」とし、その環境下で「恩や義理」の固有の価値が生まれたとベネディクトは語るが、むしろ「insidejapanblog」の筆者が語る日本の、あるいは日本人の持つ独特な勤勉性や環境が社会全体に影響し、素晴らしい成果を与えているという言葉の方がリアルに受けとめられる。日本の再生は未だ途中ではあるが、海外からの強い応援やメッセージに我々日本人もそろそろ本気を出して取り組む時期ではないだろうか。

白井邦芳「CSR視点で広報を考える」バックナンバー

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