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5年以内に受験者数4万人が目標。財団法人のテスト事業をブランド化する~シリーズ「ブランドマネジメントの今」第6回

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日本漢字能力検定協会 BJTプロジェクトチーム 阿部和行氏の場合

日本の老舗や中小企業が、積極的にブランドマネジメントに取り組み始めている状況について、レポートしている本シリーズ。今回は外国人向けのビジネス日本語コミュニケーション能力を測る「BJTビジネス日本語能力テスト」の事業を手掛ける、日本漢字能力検定協会の担当者が登場。財団法人のテスト事業における、ブランドマネジメントの考え方に迫る。

※『宣伝会議』15日発売号にて、宣伝会議主催のブランドマネージャー育成講座と連動して連載中のシリーズ「日本企業とブランドマネジメントの今」より抜粋。本記事は『宣伝会議』2012年2月15日発売号に掲載されたものです。

ジェトロから事業移管されたビジネス日本語のテスト

2009年、ジェトロ(日本貿易振興機構)から日本漢字能力検定協会に移管された事業である「BJTビジネス日本語能力テスト」。ビジネスの現場で必要とされる日本語コミュニケーション能力を測定する外国人向けの試験として1996年にスタートした。現在は年に2回の試験が開催され、年間で6000人を超える外国人が受験している。

阿部和行氏はBJTのプロジェクトチーム立ち上げと同時に「普及担当」に着任。一般企業で言う営業活動を中心に手掛けており、マーケティング、宣伝なども担当している。「少人数のチームであるため、BJTの中長期計画や予算管理まで広く携わっている。自然とBJTというブランド全体のマネジメントを考えるようになった」と自身の役割を説明する。

受験対象となるのは日系企業への就職を希望する学生や、日系企業で働く外国人。試験会場は国内だけでなく、中国やタイなどにも設置し、日系企業が進出しているアジア諸国での受験が可能である点も特徴だ。

日本の企業で働く外国人はどんなに有能であっても、日本語によるコミュニケーションの難しさや出身国との文化の違いなどから退職を決断するケースも少なくない。だからこそ外国人の人材採用に積極的な企業であればあるほど、採用時点におけるビジネスレベルの日本語習得への期待値は高まっている。テストによって企業における人材の採用・育成に貢献し、経済の活性化を目指すことがBJTの使命なのである。

BJT

受験申し込みがゴールではない 学習から受験後までサポート

BJTの現在の課題は、知名度が低いこと。「ビジネス場面における日本語コミュニケーション能力を測定する試験」という根幹の部分や試験のコンセプトは事業継承する以前から変わっていないが、今後どのようにブランドを拡張し、志願者を増やしていくか、革新と戦略が必要とされている。

また消費財と違い、「商品の購入、すなわち受験申し込みがマーケティングのゴールではない」ということの難しさも感じている。「受験に至るまでのの学習段階をサポートし、目標達成へとつなげる過程も重要。受験するだけで満足できるわけではないし、再び受験してスコアアップしていこうというモチベーションにつなげる必要がある」と阿部氏。

BJT-test

「BJTビジネス日本語能力テスト」試験会場の様子。志願者数は2003年度から2010年度までの8年間で、約5万人。

そのため学習用の問題集を出版したり、日本語学校における授業をサポートしたりと、取り組むべき施策は多岐にわたっている。また、BJTに取り組む団体から例えば「テストの結果を返却する書類の見方がわかりにくい」という声があれば、普及担当の見地から改善を検討することも。受験後のアフターフォローも重視されているのだ。

若手スタッフが多いからこそブランドへの当事者意識強める

このような課題を解決するヒントを得ようと、阿部氏は2011年8月に宣伝会議の「ブランドマネージャー育成講座」を受講した。最大の収穫は、「そのブランドを必要としている対象は誰なのかを考えて、 ブランドのベネフィットを簡潔にメッセージとして伝える」という基本の考え方を改めて整理することができたこと。同時に、これまで手探りで取り組んできた施策は間違っていなかったと確信できたという。

また「ブランドマネージャーは誰よりもブランドへの愛情を持ち、ブランドについて理解していなければならない」という意識や姿勢の部分に刺激を受けたことも大きい。

「意外に思われるかもしれませんが、私も含めて協会内は20~30代の若手スタッフが多い。だからこそ若手がそれぞれリーダーシップを発揮することが求められるし、自分自身もBJTが移管された当初から関わってきたこともあり、ブランドに対する当事者意識は強いという自負もあった。それでもこのブランドをマネジメントする立場としてはまだまだ不十分だったな、と自分を客観視できたんです」。

今後の目標は「5年以内に受験者数を年間4万人に」と意気込む。日本企業におけるグローバル人材のニーズの高まりを追い風に、ビジネス日本語の教育にはさらなる発展の余地があると考え、BJTブランドの育成に引き続き取り組んでいく。

日本漢字能力検定協会 阿部和行氏
財団法人日本漢字能力検定協会 BJTプロジェクトチーム 阿部和行氏(Kazuyuki Abe)
1983年岡山県生まれ。2007年東京大学文学部を卒業後、日本漢字能力検定協会に入職。「漢検」の普及に携わった後、08年BJT事業の立ち上げメンバーに選ばれる。以後、一貫してBJT事業担当。

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