今年5月、ヘルスケアコミュニケーションを専門とするマッキャン ヘルス コミュニケーションズが、エムディエスと新会社、MDS-CMGを設立した。会社設立の背景から、日本の医療業界を取り巻く環境変化について、マッキャン ヘルス コミュニケーションズのアマー・ウルヘカー代表取締役社長に聞く。
――新会社設立の狙いは。
医薬品業界のマーケティングは、大きく二つのフェーズに分けることができる。メディカルサイエンスマーケティングとブランドマーケティングだ。ブランドマーケティングは当社がこれまで得意としてきた活動で主にコンシューマーを対象に医薬品ブランドの認知や理解を促進する活動だ。
メディカルサイエンスマーケティングは新薬をローンチする際、まだブランド名も決まっていない段階で、新薬に含まれる成分の有効性を学術関係者や医薬業界の権威と言われる人たちに理解してもらうための活動で、ここではエビデンスを基にしたコミュニケーションが必要となる。そこでの理解ができて、具体的な商品化のフェーズへと移行する。このメディカルサイエンスマーケティングはエムディエスが持つ、学術的なコンテンツの編集制作スキルが活かされる領域で、新会社設立は両社ともに一緒になることで、互いの弱みを補完し、相乗効果を生むことができるという判断があってのことだ。
――ヘルスケア領域のマーケティング活動の変化をどう予測するか。
これから5年くらいで、医薬品業界における薬剤師の役割が重要になると考えている。医療費削減のため、薬剤師の処方で薬局でも買える、第一類医薬品は増えていくはずだ。となれば、医者やコンシューマーだけを対象にしていてはビジネスの変化に対応できなくなる。医薬品メーカーは、薬剤師とのコミュニケーションをとる必要性が生まれてくるし、そこではエビデンスを基にしたアプローチがさらに求められていくと考えている。
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