プレゼンテーションの奥義

巻(二) プレゼンは“密室の演劇”である。

私の周りにも、「あの人のプレゼンは凄い。」と噂される人が何人もいる。

しかし、私はその人のプレゼンを一度も見たことがない。何故なら、一緒に仕事をしたことがないからだ。お互いを見知っていて、才能を認め合い、一緒に仕事をしたいと思っていても、その人がライバルのクライアントを担当している限り、それは叶わぬ夢である。

プレゼンを効果的に学ぼうとすれば、凄いプレゼンをたくさん見ることが一番の勉強になるはずなのに、それができないのだ。私は新人の頃、社内の「プレゼン上手」と言われる先輩を訪ね、彼らがプレゼンで使用した企画書をもらってまわったことがある。半年で段ボール2箱分の企画書が集まった。

そして、その企画書を集める際に、その先輩が、どのようにプレゼンを始め、クライアントの鋭い質問にどう答えたかも、プレゼンに同席したスタッフから詳しく取材した(事業や新商品のついての情報は除いて)。

そして、新たなプレゼンの機会のたびに、そのストックの中からいちばんフィットしそうな企画書を選び、フレームを活用しながら、できるだけ“その達人”のイメージで演じてみた。その結果、自分の中に、「イキナリ結論から入る方法」、「課題を山積みにして一挙に解決して見せる方法」、「クライアントとの対話で決めていく方法」、「表現で圧倒する方法」など、いくつかの「プレゼンの型」を体得することができた。喜劇でいくか、悲劇でいくか、ミュージカルか、不条理劇か、プロとは、これなら絶対決まるという優れた「型=得意技」を持ち、相手に合せて、その型を演じる自分と場の空気を演出できる人だと言えよう。

「巻(三) プレゼンの良悪は“オリエン”で決まる。」はこちら

白土 謙二「プレゼンテーションの奥義」バックナンバー

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