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【2013年予測】マーケティング環境、今年を予測する3つのキーワード――「宣伝会議」編集長 谷口優

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震災からの復興が大きなテーマとなった2012年。何をいかに伝えるか、話題性ある広告クリエイティブや広報PRを組み合わせたコミュニケーション・デザインが問われ、いかに販売実績につなげていくか販売促進のアイデアの力が問われた。2013年は広告界にとってどんな年になるのか。「宣伝会議」「販促会議」「ブレーン」「広報会議」の編集長が展望する。

「宣伝会議」編集長 谷口 優

おかげさまで『宣伝会議』は今年4月で、創刊60周年を迎える。創刊当時は民放テレビ局の開局が相次いだ頃。テレビCMを中心に、日本においてマス広告が進化・発展を遂げていく時期にあたり、その活用の知識やノウハウが強く求められた時代だった。その後、経済は発展し所得は増し、拡大していく需要をいかに効率的に刈り取るかが、企業活動の重要な課題となっていく。そこではマス広告が大きな役割を果たした。

(1)「運用」する広告

それから60年経過した今年、市場環境は大きく様変わりしている。少子高齢、内需縮小傾向を受け、新規開拓は海外市場へと目が向いている。一方、国内市場に対しては「既存顧客との関係強化」、広告も効率的に「運用」する発想へと変わってきた。効率を追求する流れの先にあるのが、オンライン広告領域で進化する「アドテクノロジー」。顧客との関係構築の先にあるのが「ソーシャルメディア」活用、「ビッグデータ」を活用した顧客分析、「CRM」といった手法や技術への今、改めての期待と考え、2013年も引き続き注目されると予測する。

(2)パブリッシャーの視点

また自社サイト、SNS始め、企業と消費者が直接コミュニケーションできる接点もますます拡大。他のメディアのリーチ力を使わずとも、潜在顧客を集めてこられるだけの魅力的な「コンテンツ」、サービスを企業自ら企画する力がマーケティング力の差となりそう。企業側にも「パブリッシャー」としての視点、発想が必要となり、魅力的なコンテンツとなりうるネタを社内で見つけ、さらにそれを魅力的なコンテンツに企画・編集できる力が求められることに。またそれを支援できる外部プランナー、クリエイターの需要も増しそう。

(3)広告担当者から、真のマーケターへ

これまでの60年間、『宣伝会議』は広告を中心に企業や商品を宜しく伝える「宣伝活動」を取り上げてきた。しかしテクノロジーを使えば企業がメディアをつくり、自ら潜在顧客と接点を持つ、あるいはアプリのように日常の中に接点をつくるような商品・サービス自体を作ることも可能になっている。これまで日本の環境では広告メディアありきでマーケティングプランを考える「広告担当者」で十分に仕事が回っていた。マス広告の重要性がなくなることはないとは思うものの、企業や商品と消費者との接点をゼロから企画する「マーケター」へとその役割が変わっていくと感じる。

『宣伝会議』の誌名は『広告会議』ではなく『宣伝会議』であることに、創刊の理念と思いが込められている。企業における宣伝担当者の仕事が変化し、広告担当者ではなく真のマーケターへと進化・発展が求められる状況においても、企業・商品と消費者との関係を作る仕事に役立てていただけるよう、我々も時代の変化に対応していきたい。「紙の雑誌」という従来の発行スタイルに加え、60周年を機に新たな提供方法を加えていく予定だ。

他誌編集長による【2013年予測】