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バーチャル体験するうちにうどんが食べたくなってくる 販促NOW<MOBILE APPLICATION>(3)

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ケータイ・スマートフォンジャーナリストの石川温氏が注目するアプリを紹介。ここでは、『販促会議』2013年3月号の記事を掲載します。

石川 温(いしかわ・つつむ/ケータイ・スマートフォンジャーナリスト)
1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。

トリドール「丸亀製麺公式アプリ」

企業が提供するスマートフォンアプリは大きく二つのジャンルに分けることができる。一つはゲームなどの「エンターテインメント系」、もう一つはクーポン配布といった「実用系」だ。

iPhone のアプリ配信マーケット「App Store」が登場し、アプリ市場が盛り上がってきた時に多く見られたのが「エンターテインメント系」だった。企業が開発会社や広告会社に発注して「こんな表現ができる」「こんなことができて楽しい」という斬新なアプリを無料で提供。スマートフォンユーザーに企業や商品のブランドを認知させる狙いがあった。

しかし、最近では奇をてらったアプリを開発したくても「ネタ枯れ」状態となり、なかなか奇抜な企業アプリは出にくくなっている。

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そんな中、丸亀製麺が昨年末に投入したアプリは、讃岐うどんという商材と斬新な企画力が見事に融合したアプリに仕上がっていた。丸亀製麺は、ここ最近、拡大している讃岐うどんチェーン店ブームをつくってきた企業だ。

アプリではユーザーが丸亀製麺の店をバーチャルに体験することができ、個性ある店員キャラクターに対し、うどんの種類やトッピングなどを自由にオーダーすることが可能だ。バーチャル体験をしてみると、実際に丸亀製麺に行ったことのある人なら「食べに行きたくなる」感覚に陥ってくる。

決して、高度な技術を使ったアプリではないのだが、写真を見ながらオーダーをしてみると、食べたくなるから不思議だ。アプリではマップで最寄りの店舗も検索できる。

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個性的な店員キャラクターに対して、さまざまな 注文をすることが可能。仮想体験をしてみると、 実際に食べたくなってくる。全国の店舗の場所、 営業時間を検索できるほか、撮影した写真に天ぷらをデコレーションして楽しめる機能もある。

また、奇抜すぎて度肝を抜かれたのが「写真館」という機能だ。自分が撮影した画像に対し、トッピングの具材の天ぷらをプリクラのように貼り付けられるというものなのだ。そこに実用性は皆無に等しい。撮影した画像に揚げ物ばかりがペタペタと並ぶ写真ができあがるしかない。しかし、それがあまりにも滑稽なので思わず、ツイッターやフェイスブックで共有したくなってくる。

この手のアプリは、メディアが「面白い」と感じると、アプリを紹介するネット媒体に掲載され、それを見た読者が一斉にダウンロードして普及する。ユーザーも面白がるとそれがツイッターなどで拡散していき、認知度が一気に広まる傾向が強い。ただし、インパクトはあるが、飽きられて継続的にユーザーに使われるのが難しい面があるのも事実。エンターテインメント性の強いアプリは「一発勝負」である点を肝に銘じておく必要がある。

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