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コラム

HOTに行こうぜ!ワンパクの考えるオウンドメディアの未来

企業サイトのプラットフォーム化 超えるべき5つのハードル

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2013年も気がつけばあっという間に3ヶ月が過ぎ去り、新しい年度が始まりましたね。毎日、この時期は外を歩いていると初々しい新入社員の姿が目に入ってきます。沢山の夢と期待を胸に広告業界やWeb業界に入って来た方もいると思います。

これから楽しいこと、嬉しいことがあるでしょう。でもその一方で辛いことや厳しいことも沢山待ち受けていると思います。きっと辞めたくなることもあると思います。

でもそんなときは宇宙や空や海、富士山など大きいものを想像し、自分がどれ位の大きさなのか考えてみてください。そんな悩みや辛さはとてもちっぽけなものだと思えてくると気がしませんか。僕は悩んだときや辛いときはそう思うようにしています(笑)

さて、前回までは企業サイトがなぜプラットフォームとして進化していかなければならないかを考えてみました。これを実現していくには多くの課題(問題)やハードルがあることも事実だと思います。

そこで、どのようなものがあるかを、これまで前職やワンパクでお手伝いさせて頂いたもの、実際に話を聞いたものも含めて考えて大きく次の5つに分類してみました(もちろんこれが全てではないですし、各々が単独というよりは、それぞれに相関関係があるものも存在しています)。

 1.過去の遺産の扱い
 2.組織とモチベーション(プロマネ問題)
 3.人材とリソース不足
 4.戦略・戦術の不在
 5.継続性と投資のバランス

1. 過去の遺産の扱い

前々回も若干触れた部分ですが、多くの企業サイトは多くの増改築を繰り返し、流用しづらいかたちで、どんどんコンテンツが追加され続けてきました。結果、サイトの全容を把握できることが難しくなってしまっていたり、全体最適化を考えずにその場の行き当たりばったりで個別のシステム開発をしてしまい、どのような仕組みになっているのか、下手をしたら担当者自信も使われているのか分からないケースなどもあります。

そのため、それらの調査やデータ移行にかなりの労力やコストをかけなければならないということがネックになるパターンです。これを読んでドキッとした人もいるのではないでしょうか?(笑)

2. 組織とモチベーション(プロマネ問題)

2については大企業で縦割り組織なほど起こりがちなパターンです。

僕が言うまでもなく、そもそもWebサイトというのは企業にある様々な情報発信を担っているわけです。どの部門が企業サイトを管轄しているかによりますが、もし企業内でプラットフォーム構想を実現していこうとするならば、事業部、広報部、宣伝部、人事部、総務部、サポートなどなど多くの部門間をまたがってプロジェクトを立ち上げ、推進していかなければなりません。

大人数がお互いに言いたいことばかり言い合って、”決まらない””進まない”なんてことなってしまえば本末転倒です。これにはTOPの強いコミットメントも必要ですし、覚悟とモチベーションを持ったプロジェクトマネージャーの存在が不可欠です。言われれば当たり前なことですが、結構解決するのが難しい問題です。

3. 人材とリソース不足

2や4にも絡む問題ですが、企業内にはWebやデジタルマーケティングの部署ができている反面、プロジェクトマネジメントも理解しつつ、マーケティング、クリエイティブ、テクノロジーなど多岐に精通し、さらに企業を俯瞰で捉え、全体像を見ながら進むべき方向を考え、それを覚悟を持って推進していける人材が不足しているという現実です。

まあ、そこまでのスキルを持った人間、”どこにもいないよ”という話もあるかもしれませんが(いたらウチにも欲しい…)、そもそも大企業サイトの運用などは、もはや一人でこなせるボリュームでもないため、担当が細分化してしまっているがゆえに起こっている問題とも言えるかもしれません。

またデジタル領域でできることが急激に増えたことから、慢性的にリソースが足りていないという話もよくあります。それゆえに、新たな取り組みに割く時間が取れないという悪循環になっているわけです。

4. 戦略・戦術の不在

そもそも企業のオウンドメディアをこれからどう活用していくのか、そもそも生活者や顧客とどのようなコミュニケーションをしたら良いのか分からないというケースです。

ターゲットユーザは”全員”、誰もが使えるサイト、誰もが楽しめるコンテンツにして欲しいと言われると非常に困ります。もちろん湯水のように予算があれば巨大なプラットフォームでコンテンツを全方位的にということもあるのかもしれませんが、企業のステークホルダーを考えれば、当然ながら「誰に」「何を」「どのように」が見えてきますし、その先にある体験がどんなものか、それは価値を感じるものなのかなどを描けると思います。

また、ユーザの属性やパーミッションなどを取ることがプラットフォーム化するにあたっては必要なことであったとして、将来貯まっていくデータをどのように分析していくか、マーケティングにどのように活用するべきかのイメージ(最初は具体的でなくとも)は持つべきかと。

5. 継続性と投資のバランス

最後は、現状の企業サイトをリプレースするかたちであればあまり問題はないのですが、これまでとは別なかたちで新たにサービスプラットフォームを立ち上げる場合に、継続する覚悟をもてるのかという部分になります。

仮にコンテンツマーケティング的な発想で、直接的な商品などを訴求するためのものではなく、生活者に有益なコンテンツを提供しつづけ、より多くの生活者や顧客との接点と頻度を徐々に広げていくようなものだった場合、直接的にコンバージョンを上げるというよりは、間接的かつ将来へ向けて見込み顧客やファンを増やし、それをマーケティングに生かしてくという視点になります。そこにどれだけ投資できるのかというのはとても難しい部分だと思います。

結局実現するかは意外に担当するプロジェクトマネージャーの熱意だったりするわけですが、投資を戦略的にどこまで見据えておけるかも継続という意味では問題となります。

さて、今回はプラットフォームに進化していく上で、企業、パートナーのエージェンシーやプロダクションが共に考えて向き合っていかなければならないポイントという意味でも参考になるのはないかと思います。次回からはこの課題をどうクリアしていけるのかなど、ワンパクの仕事の話も交えながらお話していきます。お楽しみに!

【阿部淳也「HOTに行こうぜ!ワンパクの考えるオウンドメディアの未来」バックナンバー】