メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×
コラム

楽天大学学長が語る「EC温故知新」

なぜ1本498円の缶ビール500本が1分19秒で即完売したのか?

share

いきなりですが、3択クイズです。

【問】軽井沢に、ある地ビールメーカーがあります。この会社が、ネットショップのお客さんを対象に実施した、いわゆる「O2O(※)」の内容は次のうちどれでしょう?
※O2Oとは、「オンライン to オフライン」の略で、ネットのお客さんをリアルに呼び込むアクションのことをいいます。

(1)全国からお客さんを呼んでミーティング
(2)スマホアプリを活用した工場見学ツアー
(3)ただの割引ではないクーポンによる来店促進

(考えタイム)

ちっ




ちっ




ちっ




ぼーん!




正解は、(1)「全国からお客さんを呼んでミーティング」でした!

1997年から楽天市場に出店している「よなよなの里 エールビール醸造所」というお店があります。

yonayona1

ある夏の土曜の昼下がり、東京・恵比寿のアイリッシュパブに40名の人が集まっていました。始まったのは、「よなよなリアルエール缶 新製品発表会」。

新製品発表会に招待されたのは「よなよなVIP」と呼ばれるお客さんたち。ネットショップで地ビールを「定期購入」しているお客さんと、過去にイベント参加歴のあるお客さんだけに案内をして、集まった40人です。メルマガで「新製品発表会やります」と告知したところ、たったの1時間で40人の定員が埋まったといいます。参加者のなかには、なんとこのイベントのためだけに大阪から飛行機で上京したご夫婦や、岩手から参加のグループがいました。

平たく言えば、ネットショップ主催の「オフ会」なわけですが、このオフ会、ちょっと内容がふつうと違っていました。

店長であり社長の井手直行(いで なおゆき)さんが開会を宣言したあと、いきなり話し始めたのが、「よなよなエールのミッション」。

日本のビールはどれも似ていて区別がつかないのはつまらない。そこで僕らは「ビールに味を! 人生に幸せを!」のミッションのもとに、日本に新たなビール文化をつくり出し、お客さんに喜んで、そしてちょっぴり幸せになってもらいたいんです、と。

ちなみに、井手さんの名刺の肩書きには「よなよなエール“愛の伝道師”」と書かれています。

「よなよなエール」という名前は、「夜な夜な楽しみながら個性豊かなエールビールを飲んでもらいたい」という想いを込めたネーミングだという由来も紹介されました。

そのあと、ようやく今回の新製品「よなよなリアルエール缶」の概要が説明されます。それまでパブでしか飲めなかった無ろ過・非加熱のリアルエールを「缶」にすることに成功したという製品です。ただ、このビール、440mlで1本498円という缶ビールとしてはかなりのお値段。一般的な缶ビールと比べると2倍ほどの価格です。

yonayona2

カンタンな製品紹介が終わったところで、井手さんがこう言います。

「実は今回の開発は一筋縄ではいかなくて、構想から7年、途中で空中分解の危機を乗り越えて完成したものです。その過程をお伝えしたくて、初めてムービーにチャレンジしてみました」。

そして、数分のショートムービーが流されました。グッとくる系ですグッとくる系です(左のリンク先の商品ページ中ほどにアップされています)。

yonayona3

ムービー明け、井手さんは、やや目をうるませながら製品の詳細を語り始めます。数枚目のスライドで、

「賞味期限: 製造から3週間」

という文字が表示されたとき、会場から「おぉ〜!」という大きなどよめきとともに拍手が起きました。「生きてる!」とつぶやく人もいました。それを聞いた井手さんは、うれしそう、かつ驚いた表情で言いました。

「うわぁ、うれしいです! 実はきのう、プレス向けにも同じ話をしたんですけど、『賞味期限は3週間です』ってちょっとドヤ顔したら、しーんとしてたんです。やっぱり今日集まってくださったみなさんは違う!」

(次ページヘ続く)