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コラム

売れる店頭研究会2013

味・価格・容量について第三者が「総合的」に評価! 認められたものだけ商品化する新PB戦略――価格訴求と価値訴求(4/4)

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「価格訴求と価値訴求」の4回目。昨年より斬新な新PB戦略を打ち出している西友の取り組みを紹介する。この取材には、西友 マーケティング本部プライベートブランド・デジタル担当ダイレクター 越智幸三氏が応じてくれた。

西友は、昨年12月に、「みなさまのお墨付き」「きほんのき」という2つの新PB(プライベート・ブランド)商品を開発し、従来のPB「グレートバリュー」から順次切り替えて行くという新たなPB戦略を展開している。特に前者の新ブランドは、本来価格訴求の側面が強調されるPB商品において、「価格」を含めた総合的な「価値」を第三者組織の商品テストで図ってから商品化するという斬新なもの。新しいPB戦略を中心に、店頭展開を含め同社の取り組みと考えについて話を伺った。

支持率70%以上の商品のみ実商品化

西友 越智幸三氏

西友 マーケティング本部プライベートブランド・デジタル担当ダイレクター 越智幸三氏

西友の新PBブランド「みなさまのお墨付き」と「きほんのき」は、基本的にお客さまの価値観に合わせて、ブランドの棲み分けを行っています。「みなさまのお墨付き」は、お客さまが商品を選ぶ際、価格よりも「品質」や「味」を優先するカテゴリーを中心に展開しています。例えばハムやカップ麺など、食べて味がすぐ分かる商品などです。一方、「きほんのき」は、選ぶとき比較的「価格」に優先順位が置かれているものが中心です。例えば料理酒、お酢などの基礎調味料などです。

属性によってターゲットを分けるのではなく、一人のお客さまでも持ちうる2つの価値観に合わせてブランドを棲み分けることで、より多くのお客さまのニーズにお応えできる商品展開ができると考えています。

「みなさまのお墨付き」は、消費者テストで70%以上の支持率を得た開発品のみを商品化するという、今まで日本の流通業界にはなかった新しい試みです。消費者テストに参加するのは、1商品につき100名強の20〜60代の年齢、居住地域、嗜好が異なる主婦を中心とした一般の方々。開発品の味・容量・価格を4段階(非常に良い、良い、良くない、全く良くない)で「総合的」に評価していただきます。対象者の70%以上が「非常に良い」「良い」と評価したものだけに商品化のチャンスが与えられます。

消費者テストの際、私たちが特に配慮していることは、「合格させるための工夫」はしないということです。むしろ落ちたら落ちたでいいことだという価値観を持って実施しています。お客さまにご満足いただけない程度の商品を発売してしまうのを事前に防げますし、4段階評価の際に「その評価にした理由」を書いて頂いているので、改善点も明瞭に把握できます。

ひとつ例をあげると、あるお取引先さまと開発したパルメザンチーズが支持率69.8%で不合格となったことがあります。理由として複数の人があげた「チーズの風味が弱い」「味が薄い」というコメントから、素材の配合率の改善を進め、再テストで75.2%の支持を集めて、商品化に至りました。

店頭で消費者テストの「支持率」掲出

当社は、基本戦略がEDLP(エブリデイ ロープライス)で、いわゆるハイ&ローと呼ばれている、特売日にチラシを配布して値下げする小売戦略とは一線を画しています。ハイ&ロー型では日によって安いものが異なりますが、「いつ来ても安心、安い」というスタイルが西友のビジネスモデルであり、お客さまへの一番のおもてなしだと考えています。

また現在、お客さまにとって小売でお買い物をする際にPB商品を買うのは当たり前の価値観になっています。そんな中、お客さまの買い物の選択を広げるということで、NB(ナショナルブランド)だけでなく、PB、そしてもう一つ、直輸入商品(ダイレクトインポート」を展開し、お客さまの選ぶ楽しみを広げて行きたい。その一つとして今回のPB展開があります。

このPB展開においては、お客さまにとっての商品バリュー(品質と容量と価格)を高いものにして、それをいかにわかりやすくお客さまに伝えるかが大きなポイントになってきます。ブランド名、パッケージデザイン、支持率開示などの手法、店頭での見せ方もかかわってきます。また、当社では基本的にコミュニケーションするときに、「2.5枚目」でいることを意識しています。カッコイイ2枚目ではなく、ふざけすぎている3枚目でもない。「みなさまのお墨付き」でもそういった要素を大切にしています。
(次ページヘ続く)