5月29日、東京・丸の内で「市原湖畔美術館開館発表会」「いちはらアート×ミックス企画概要発表会」が開催された。総合ディレクターの北川フラム氏、佐久間隆義市原市長、そして、参加する作家らによる作品説明が行われた。
市原湖畔美術館は、2014年に開催される「いちはらアート×ミックス」に先駆けて今年8月にオープンする。前身の「市原市水と彫刻の丘」を2年間かけて改修、高滝湖畔という立地を活かし、環境・建築・アートが一体となった美術館に生まれ変わる。改修設計は、川口有子+鄭仁愉/有設計室が、デザイン・コンセプトは、色部義昭(日本デザインセンター)が手がけた。開館後は、アートを通した地域づくりの中核施設として、また、地域の食の魅力の発信拠点や、湖畔や里山の自然のなかでの独創的なアート体験の拠点となることを目指す。
中心市街地への人口集中と過疎化、両極化への対応は全国共通の課題
「いちはらアート×ミックス」は、市制施行50周年を記念して開催される、地域住民参加型、来場者参加型のアートフェスだ。北川氏が手がける芸術祭としては、大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭に続く第3弾となる。都心から車で1~2時間という近さから、「晴れたら市原、行こう」をキャッピコピーで、首都圏のなかの田園を舞台に気軽に訪れるアートフェスを目指すという。
市原市は、北部には工業地帯や首都圏へのベッドタウンが広がる一方で、南部は農業以外の目だった産業がなく少子高齢化が進む、いわば日本全国の縮図のような特徴をもつ。豊かな自然に恵まれたのどかな土地だが、さほど際立った特徴のない田園風景。昔ながらの暮らしのよさがある一方で、若い世代の職出に歯止めがかからず、地域が活力を失っている……。そんな市原市南部での開催の意味合いや可能性について、北川氏は「過疎化など、地域の課題解決にこれまで以上に踏み込んだかたちの芸術祭を目指すことによって、日本のほかの地域にとっても活性化のヒントとなる」と語った。
地域を舞台にした来場者参加型の企画が盛りだくさん
北川氏や佐久間市長ののち、日本デザインセンターの色部義昭氏から、地域のシンボルである小湊鉄道のカラーをモチーフにした「アート×ミックス」のロゴについての紹介が行われた。続いて、市原湖畔美術館でオープニング企画展(会期:8月3日~11月4日)を行う磯辺行久氏からの挨拶、「アート×ミックス」に参加する作家らによる作品紹介などが行われた。
さらに、イスラエルの作家、Izhar Gafni+Carboard Technologiesから発表作品の製作工程の映像上映や、土谷享、車田智志乃の2人によるアーティストユニット「KOSUGE1-16」からの高滝湖での不時着飛行機のオブジェを使った企画、アーティスト団体「Caketree Theater Company」の姜侖秀(カン・スンユ)氏による廃校となった白鳥小学校を利用した人生劇場、劇団「指輪ホテル」の芸術監督、羊屋白玉氏による小湊鉄道を舞台にした鉄道強盗などの企画発表が続いた。
北川氏がこれまで手掛けてきた越後妻有アートトリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭では、「こへび隊」と呼ばれるサポーターが、地域に住み込んでボランティアとして活動し、芸術祭全体を支えてきた。一方、「いちはらアート×ミックス」では、これまでよりも地元NPOや町内会など、地域住民が積極的に関わっていく芸術祭を目指すという。来年の「アート×ミックス」は、地域の課題解決にアートには何ができるのか、その試金石となりそうだ。
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