在庫検索や店での取り置きなどベーシックなことこそ重要!
インターネットと店舗の関係性の変化について、まず最新の海外事情から気になった事案を紹介しましょう。米国のCrossViewという会社のレポートなのですが、米国の小売業者トップ10社の80%がウェブサイト上からの在庫検索を可能にしている一方で、残りの小売業者は39%しか対応していなかったというデータが上がっています。
これがモバイルサイトからの在庫検索になるとトップ10企業の60%、残りの企業の21%が可能という結果が出ています。また興味深かったのが、「自社ショッピングサイト上で購入すると、配送のほかに近隣店舗での取り置きが可能」というサービスを実施しているのは、トップ10企業で70%、残りは26%という結果が出ていることです。トップ10企業では、ウェブサイト上での在庫検索ができる、ネット配送のほか店での受け取りもできるという、基本中の基本と言えることをしっかりと実施しているわけです。
また海外で注目されているのが「ショールーミング(Showrooming)」対策です。「ショールーミング」については、なぜこういう購入形態が起こるのかというところから考察する必要があると思います。まず一つは価格の問題。分かりやすい例で言うと、例えば高額専門書を購入する際、アマゾンのように中古のものも扱っているオンラインショップがあると、どうしてもリアルな店舗で実物の内容を確認してから安価な方で購入するという行動をしてしまうことは否めません。
もう一つの問題は配送です。店舗で購入を決めても同じ商品がオンラインで今日、明日中に届くということであれば、重い商品なら持ち帰る必然性がなくなります。リアル店舗側は、この「価格と配送」というベーシックなところに立ち返って、もう一度自社の実情を良く調べて対策を打ち、リアル店舗に来た顧客の利便性を高める必要があると思います。
あるいは、オンライン上の在庫確認や位置情報を利用した在庫のある店舗情報の発信など、地味ですがやはり基本をしっかり行うことが効果につながると思います。
「ショールーミング」対策に関しては面白い事例がありました。“just looking”の人、つまり店に入って見るだけで購入しなかった人は、5ドル課金するという店がオーストラリアのブリスベンで出現したのです。入店時にデポジット料5ドルとって、商品購入者に限り返金するという方法らしいです。「ショールーミング」に業を煮やした結果なのでしょうが、さすがにこれはやりすぎでしょう。ただ、一部小売にとってはそれほど深刻な問題であることの裏返しともいえると思います。
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