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コラム

宣伝会議 インターネットフォーラム 2013

“バカバカしいこと”を真面目に考える――はなまる

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宣伝会議は、6月5日に東京・港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で、「宣伝会議インターネットフォーラム2013」を開催しました。WEB・デジタルテクノロジーの発展と、それに伴って大きく変わりつつあるメディア環境や消費者行動をとらえ、企業コミュニケーションの未来と、そこでのデジタルの活用可能性を探る同イベント。今回の来場者数は、前回の2591人を大きく上回る3521人にのぼりました。
幅広い業種・業態の企業でデジタルマーケティングに取り組む責任者・担当者が登壇した講演はもちろん、そうした企業の取り組みをサポートするツールや技術を紹介する展示にも多くの人がつめかけ、会場全体が熱気に包まれました。ここでは編集部が特に注目した講演にスポットを当て、そのレポートをご紹介します。

登壇者:田中安人(はなまる 経営企画室 マーケティング担当部長)

「はなまる=健康」の認知を広める

「ダイオウイカ天」のエイプリルフール施策が大きな話題を呼んだはなまる。ユニークなコンテンツ戦略を軸にしたオウンドメディア戦略について、経営企画室 マーケティング担当部長の田中安人氏が事例を交え紹介した。

「はなまるうどん」のマーケティングにおける課題は、一般への認知は高いものの、来店に結びつきにくいことだった。また、外食産業自体が成熟し、同質化が進んだ結果、価格競争に陥りがちなことも問題であった。そこで同社は今年4月に「健康宣言」を打ち出し、「はなまる=健康」という認知を広めて他社と差別化させる戦略を取っている。

同社では昨年、「期限切れクーポン大復活祭」というキャンペーン企画を実施した。メディアでは大きな話題を呼び、広告費換算で1億5000万円相当の露出を獲得。また、SNSでも大いに盛り上がったものの、売上は2%増にとどまり、来店客数の増加を目指す同社にとっては成功とは言えなかったという。

そこで、今回のエイプリルフール企画「ダイオウイカ天新発売」では、来店客数の増加に結びつけるため、コミュニケーション戦略をより精緻に設計し、5段階に分けて波状的に展開していく手法を取った。

今でも続いている集客効果

まず第1弾として、うどんの麺にレタス1個分の食物繊維が入ったことを訴求した。第2弾は、半日分あるいは1日分の緑黄色野菜が取れる新メニュー「コクうまサラダうどん」を市場投入。第3弾は、健康保険証の提示で「コクうまサラダうどん」を50円引きにするキャンペーンを実施。第4弾は、レタス1個分の食物繊維が麺に配合されたことを伝えるため、東京・新宿駅前でレタス1個をまるごとサンプリングした。

そして“最終兵器”となる第5弾として、体長18メートルの「ダイオウイカ」を天ぷらにして、8万7000円で販売するという、エイプリルフール企画を実施した。天ぷらになったダイオウイカが店内から道路にまではみ出しているという、現実ではあり得ない画像はマスコミ受けし、いくつもの人気テレビ番組が取り上げ、SNSでも話題が飛び交った。その結果、広告換算額は約2億5000万円に達し、来店客数も伸び、集客効果は今でも続いているという。

田中氏は「バカバカしいことを真面目に考えて、キャンペーンサイトを細部まで丁寧に作ったこと、友人に話したくなるネタで、SNSとの親和性が高かったことが鍵でした」と、成功の要因を分析した。


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■はなまるのエイプリルフール企画「ダイオウイカ天」に関する記事はこちら。



「これからのマーケティングに求められること」
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リアルとバーチャルのバランス

田中安人(はなまる)