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コラム

CSR視点で広報を考える

従業員による不適切なネット書き込みの影響力を検証――閉店やブランド否定につながる従業員のネット書き込みは致命的リスクか?(上)

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twitterの風評の起爆剤としての効果は予想以上

twitterはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の中でも最速の伝達媒体であり、twitterから発信された「つぶやき」のリツイートに連鎖するfacebookへの転載、さらにfacebookでのシェアなどを通じて拡散する風評連鎖行動は、この数年で飛躍的に拡大している(図1参照)。

図1:ねずみ算式に拡散する風評情報
(出典:デロイト トーマツ 丸山満彦氏「ソーシャルメディア・リスク入門」より加筆修正)

従業員によるネットへの不適切な書き込みの代表的事例は、2011年8月29日にtwitterに書き込まれた日本新薬の「社員が懇意にしている薬局からハルシオン後発品を不正に入手し飲み会の時にお酒に入れた」とされる事件だろう。9月5日の日本新薬のホームページでの「ネット書き込みに関するお知らせ」は今でも確認可能であるが、結果として書き込んだ女性従業員は、直接目撃・体験したものではなく、事実関係にも誤りがあり、当該医薬品についても不正に入手したものではなく、別の男性従業員が自身の治療のために医療機関から処方されたものだったことが判明している。

しかし、その後も風評となった理由として、医薬品を取り扱う製薬企業の社員が、業務外の場所で医薬品を不適切に使用したことに対してモラルを疑う状況が明らかとなったことや、所管行政である厚生労働省への会社の過剰な対応などによると考えられる。当時の日本新薬のドタバタ劇についての詳細は、本コラムの筆者の「ツイッターの内容に機敏に反応した日本新薬の評価の分かれ目」で記載しているのでそちらをご覧頂きたいが、もし、これがほぼ2年を経過し、まさに今、起きていたら、さらにその風評は一層大きくなっていただろう。それだけ、2年という時間はtwitterの起爆剤としての影響力を大きく強めたと言ってよい。

ネット書き込みの風評拡大は48時間以内

最近の傾向として、従業員や社員のネット書き込みは、あたかも真実を担保するかのようにブランド名のロゴや自ら名乗るなどして写真を一緒に投稿する事例が増えている。日本新薬の事例では事実関係に明らかな虚偽があり、内容の一部が否定されたが、最近の事例では、投稿する側もそれを読む側に真実を訴えかけるように証拠写真を掲載する手法を確立させ始めていることに問題がある。

今年、7月から始まった一連のブランド企業の加盟店などの従業員やアルバイトによる不適切な投稿について、株式会社VLeに協力要請をお願いし、調査を行った。

調査結果は、twitterによるツイート数とテレビ報道による放映時間についての関係について表している。7月中旬にローソン加盟店の従業員による不適切なtwitterおよびfacebookによる投稿が引き金となり、ファミリーマート、バーガーキング、ほっともっと、丸源ラーメン、ブロンコビリーの関係者による不適切な投稿が1カ月ほどの間に連鎖した。流れは当初、コンビニエンスストアーを中心に不適切投稿が着目されていたが、その後、飲食店従業員等による投稿となり、消費者の視点からは身近な食事を提供している店への衛生面での安全性を懸念する大きな声に変貌していった。

風評拡大の影響力ではテレビ報道が最も大きく、最初にテレビ報道がなされた場合は、その報道を受けて、twitter、ブログ、facebookなどによって当日より一気に拡散することが一般的であり、その状況は先週投稿した筆者の「カネボウ自主回収問題徹底検証」(下)でも記載している。

しかし、今回のようにtwitterによって最初に発信された場合では、それが一般的に認知されたときから、テレビ報道されるまでの間に1日〜3日の日数を要していることが確認された。このテレビ報道による風評の本格化のバッファ期間が、企業側でtwitterなどによるリスクを危機管理すべき重要な初期対応期間と考えることができる(グラフ1を参照)。

グラフ1:資料提供「株式会社VLe」

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