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コラム

売れる店頭研究会2013

O2Oから見るリアルとネットの融合(まとめ)

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第2回テーマ「O2Oから見るリアルとネットの融合」では、日立コンサルティングの小林啓倫氏にオンラインとリアル店舗の海外での興味深い最新事情と今後についてお話を伺ったのを端緒に、国内の最新事例としてクックパッドさんとイオンさんの試みについてその仕掛人に話を伺ってきました。

今回は第2回のまとめとして、最近弊社も参画した具体的な事例をふまえ、紹介したいと思います。

ネットからリアルに集客した顧客を「買う」行動へ導く仕掛けが重要!

互いにメリットのあるスパイラル型O2Oへ

今夏暑い盛りの7月下旬から2週間、ニフティさん、ダイエーさん、玉露園食品工業さん、ソー・プランニングさん、そして弊社マックスが共同で、オンラインクーポンを利用した実店舗への来店促進と、売り場の異なる商品を同時に提案するクロスマーチャンダイジングを連携させた「O2Oクロスマーチャンダイジング」の試みを実施しました。

このトライアルの対象商品は、玉露園の「こんぶ茶」「うめこんぶ茶」および、ソー・プランニング編著の書籍『玉露園のこんぶ茶アイデアレシピ』です。方法は、ニフティさんが提供する主婦向けのオンライン情報サービス「シュフモ」の会員(店舗近隣の人)と、ダイエー碑文谷店のメールマガジン会員に、対象商品が割引になるオンラインクーポンを配布し、集客を図りました。

店舗では、そのクーポンが食品売り場で使用できるほか、書籍『こんぶ茶レアイデアレシピ』の一部レシピを無料配信し、レシピに必要な食材を陳列して販売。また、同店には書籍売り場があるので、そこでは同レシピ本の購入特典として「こんぶ茶」の試供品を提供しました。

「こんぶ茶」はそもそも冬季に売り上げが伸びる商材なのですが、この試みによって例外的に夏季に売り上げを伸ばすことができました。

レシピ自体が「冷製のトマトおでん」など、こんぶ茶を飲み物としてではなくだしなどの調味料として使用したレシピだったので、夏季にも適したものが多かったという理由もあるでしょう。このトライアルを通して、お店に来る人をどんなに増やしても、商品の「販売」につながらなければあまり意味がない、ということを実感しました。

今回、現場の「こんぶ茶」売り場にて試食販売サービスも展開し、最終的にお客さまが「買う」というところまでの仕掛けができました。

O2Oによる集客が注目されていますが、やはり最終的な購買行動にまでつながないと、せっかくのITの技術も生かせないと感じました。O2Oの「集客の仕掛け」と「買ってもらうための仕掛け」を併せて考えて企画することの重要性を実感しました。

もう5年ほど前になるでしょうか、デジタルサイネージが脚光を浴びて、これは売り場が変わるぞ、と流通に関わる多くの人が感じたことがありました。

ところが、今では明らかになっていますが、売り上げにつながらないとお店はサイネージを導入しません。これは、少し今のO2Oへの注目も似ているところがあるのではないでしょうか。O2Oはこれから可能性がすごくある分野だと思うのですが、いかに売りに結びつけるかがキーポイントだと思います。

ネットとリアルの融合ということでは、O2Oでウェブからリアルに集客して終わりということではなく、買った後に情報をシェアしたり、拡散したりできる、ネットとリアルがお互いのメリットを尊重する、いわばスパイラル型のO2Oになっていかないとダメだと思います。

リアルの面では、せっかくネットを使って集客がうまくいったのだから、ユーザーにとって、買い物の楽しさ、商品の良さを実感してもらえる仕組みをつくって用意することが大事だと思います。

最後に、O2Oは比較的小売・流通側から語られることが多い。だから、メーカーは自社商品の販売に固執せず、店舗全体の集客をもっと考えなければなりません。そのためにも、お店へのお役立ちという視点が重要だと思います。

そうすれば、O2Oをメーカー側から提案するというケースも出て来ると思いますし、今後は、店舗とメーカーが循環型、つまりお店で商品を購入した顧客情報が、メーカーにフィードバックされていく、そういう相互にメリットを追求できる仕組みが必要になってくると思います。

われわれのような事業者も、売り場の現場でメーカーからの切実なニーズ、つまり「どうすれば実売を上げることができるか」をしっかりと踏まえた対応がこれまで以上に求められていくと思います。