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コラム

ニューヨーク突撃記 PARTY NYCの挑戦

13時間の時差。ゆえにPARTYは24時間営業中

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【前回のコラム】「避けて通れない大問題。「英語」について」はこちら

東京とNYでひとつのチーム

地獄のような寒さに耐えて家の外で震えながら喫煙する日々も終わり、ニューヨークも春めいてきました。ここ数回いろいろ書いてきたように、まったくもっていろんなことが起こったこの数カ月でしたから、どちらかといえば「春だなぁ」というよりも「嗚呼、どうにか冬を越せた…」という感覚です。

昼の仕事風景。前職でも、PARTY東京オフィスでも、私の机の汚さは変わりません。

ニューヨークで活動していますから、この記事では「PARTY NYC」とうたっていますが、もともと私たちはPARTYというチームで、ニューヨークも東京もなく、「PARTY」だったりはします。さまざまなグローバルエージェンシーがそうであるように、PARTY NYCは一応別の会社ですが、PARTY東京の子会社みたいなものですし、1つのチームではあります。

もちろん、NYオフィスとして、独自色も出していきたいですし、東京ではつくれないようなものもつくっていきたいと思うわけなのですが、とはいえPARTYであることには変わりありません。

私はこのPARTYという、広告業界のすごそうな人たちが集まってつくった会社の設立メンバーの末席にいますが、その中では、戦闘力で言えば完全に最弱です。

たとえば、Twitterのフォロワー数で言うと、設立メンバーの中では一番低い。もっと言えば、会社の公式アカウントよりフォロワー数が少ないのは私だけです。人間、フォロワー数ではないことはわかっています。しかし私のフォロワー数が増えたところで他のメンバーのフォロワー数はもっと増えていきます。永遠に縮まらない距離がそこにあるのです。

Wikipediaに個人の項目が無いのは設立者の中でも私だけです。たまに、自分の名前を検索してみるのですが、いつまでたっても憧れのWikipediaに自分の記事が立たない。何度悔し涙に暮れたことか。社員に、「Wikipediaの記事書いてよー」と5,000円を渡して頼んだこともありました。

そしてしつこいようですが、私は設立者の中では唯一頭髪が薄い。他の人たちはみんな男前で、キラキラしています。

戦隊モノで言えば永遠に真ん中の赤の人になれない、せいぜいカレーが好物の黄色い人のようなものです。いい感じに脇を固めていい味を出していれば良いのです。

Wikipediaを気にする日々にサヨナラ

ああ、もっと他のみんなのように有名になれたらいいのに。私だって真ん中の赤い人になりたい。もっとチヤホヤされたい。「情熱大陸」に出て、葉加瀬太郎の音楽をバックに多くの人の羨望の眼差しを受けてみたい。よく知らない親戚から電話がかかってくるような体験をしたい。

実は、私がニューヨークにやってきたもう1つの理由は、そういう余計なことを考えないで済むような環境に身を置きたい、ということです。

PARTYという会社に属していると、なまじブランド力があるぶん、最弱の私でも、いろんな方にいろいろ良くしていただけます。もちろん、素敵なお仕事をいただけるチャンスもたくさんあるわけです。

しかし、そのぶん、恐らくは余裕か油断のようなものが生まれてしまって、上記のような、非常にどうでも良いことで悩んで時間を使っている自分がいました。

今の業界に足を踏み入れたときは、似たようなコンプレックスは抱えつつも、あまりそういった余計なことを考えずに一心不乱にデザインをし、コードを書き、ディレクションをしていました。

それは、初めての仕事で余裕など全く無く、必死についていくしかなかったからです。ほとんどキャリアの無い状態でいきなり制作会社に入ったわけですから、やることなすことすべて冒険のような日々でした。

そのときに得たものに較べて、今の自分はなんなのか、と思いました。私は、編集室でエディターさんにいろいろなお願いをしながら、置いてあるカントリーマアムを貪り、自分の記事がWikipediaに上がっているかをスマホで確認する豚のようなものでした。こんな豚になりたかったわけじゃない。今日死んだら後悔する、みたいな思いが強くなっていきました。

すべてが自分にとって新しくて、必死にならないと生きていけない状態が欲しい。何も考えずに前に進んでいた状態を取り戻したい。そんな思いがニューヨークで会社をつくる、というアイデアにつながったわけです。

次ページ 「地球の丸さを呪う!午前6時のHangoutプレゼン」へ続く