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コラム

IMCは3.0へ――日本企業に必要な「REAL MARKETING」

戦略PRは終わりました。

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PR会社にクリエイティビィティーは必要か

最近の世界のPR業界における最大のテーマは「PR会社にクリエイティビィティーは必要か」という議論です。カンヌ国際クリエイティブフェスティバルでも最近PR専業のエージェンシーのアワード受賞が減り、広告やデジタルのクリエイティブをドメインとするプレーヤーがPRLIONの受賞者として多く登場していることから、PR業界の地盤沈下と将来を不安視する声が多く聞かれます。

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もはや、広告とPRの境界線は曖昧です。企業主語は広告の領域などと言っていられない時代に、広告はPRを学び、PRもまた広告に学ぶべきなのです。

昨年、カンヌライオンズ 国際クリエイティビティフェスティバルでPR LIONのグランプリを受賞したマッキャンメルボルンの地下鉄の転落事故防止キャンペーン「Dumb ways to die」 に対して、審査員長のDavid Gallagherは「この キャンペーンは、今後PRがどうなるか? PRエージェンシーに何ができるか?ということを垣間見せてくれた。

PRの仕事は、以前はプレスリリースを撒くことだったが、それはもう終わった。PR業界はこのようなより楽しく、エンゲージを作り、実際に良い変化をもたらすコンテンツを作るべき(クリエイティビティを発揮すべき)だ。」と語っています。

PRはノンブランデットであるべきだという主張はもはや通用しません。もちろん課題啓発など第三者性をもったアプローチの必要性は残っていくでしょう。

しかし中立、公正を重んじて、特定の企業や製品情報を扱うことに慎重なメディアの編集者たちでさえも「報道すべきだ」と感じさせるような、時事性や話題性のある強いインパクトを持つブランデットなコンテンツの開発こそが、これからのマーケティングにおいてPRが新たに担うべき役割です。

かつ「Dumb ways to die」が提示している大事な視点は、単なる企業の「社会的責任」や「社会貢献活動」の重要性だけではありません。

CSV(Creating Shared Value)といった言葉がマーケティングの世界でも聞かれるようになりましたが、ブランドと社会をつなぐコンテンツを考えるうえで、結果的に社会性を持ったアプローチになっているということです。

従来の広報部門が担ってきたPRという役割と、マーケティング、広告部門が担ってきたブランディングという役割を融合したこの新しいアプローチを実行するためには、企業におけるIMC(統合型マーケティング)という売れ続ける仕組みづくりが欠かせません。

マーケティングにおけるPRの中心的役割を担ってきた戦略PRは、広告とPRのハイブリットであるブランデットコンテンツをマーケティングの中心に置く時代になった今、その使命を終えようとしています。