博報堂は5月8日、オーストリア・リンツ市を拠点とする世界的なクリエイティブ機関「アルスエレクトロニカ」と提携し、イノベーション創出支援サービス「Future Catalysts」を開始したと発表した。
一般的にはメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」が知られているが、アルスエレクトロニカは、インタラクティブアートやデジタルコンテンツなど最先端のアート作品やプロジェクトをアーカイブするメディアセンターとしての機能や、欧州企業のクリエティブコンサルティングを行うR&D部門「フューチャーラボ」も有するなど、先端的クリエイティブ機関としての機能を持つ。
今回の提携は、こうしたアルスエレクトロニカのイノベーションを支援する“触媒”としての役割と、博報堂が持つ生活者洞察力やアイデア具現力を掛けあわせ、クライアント企業に対する新規事業創造の開発支援や、様々な社会課題への新たな解決策の創造を、共同で行っていくことが目的。対象は主に日本とアジア圏で、アルスエレクトロニカにとってはアジア進出の足掛かりとなる。
サービスの正式名称は「Future Catalysts Hakuhodo × Ars Electronica」(未来への、触発)。柱は大きく2つあり、一つはクライアント企業向けのイノベーション開発支援事業。具体的には、未来生活体験シナリオ・未来事業開発コンセプトの開発/新プロダクト・サービス開発、実証実験環境の提案/新メディア・プラットフォーム開発、新エンターテインメント(感動体験)プログラムの開発/政策立案、地域振興プログラム等、社会イノベーションプログラムの開発等を行っていく。もう一つの柱はクリエイティブ人材育成プログラムで、先端テクノロジーやアート領域も含むクリエイティビティを産業と社会のイノベーション創出に活かす「Future Catalysts」人材を育成する。
アルスエレクトロニカのアーティスティック・ディレクター ゲルフリート・ストッカー氏は、「『Future Catalysts』が目指すのは、産業、行政、地域、社会を刺激し、『未来を発明するための触媒』となり、実践してゆくこと。未来のシナリオを語るだけでなく、それを実際に創造し実現していく。2つの専門家集団が出会いから、『未来の発明』を促す様々な化学反応が生まれることを期待する」とコメントしている。
クライアント企業のニーズとして想定するのは、将来の新事業領域を探す/社内にある技術を生かした新商品・サービスを開発する/外部のアーティストと協同してプロダクトを開発する/社員のクリエイティビティ向上など。博報堂社内では、クリエイティブ戦略企画室 クリエイティブ・プロデューサーの鷲尾和彦氏らが中心となって推進する。
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