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「Story Yelling?」大切なのは共感されるストーリー――TBWA\HAKUHODO 佐藤カズーさん

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今回のカンヌの受賞作を見て感じたことの一つは、「Nothing is impossible」。企画会議の中で出てきても、以前だったら「そんなの、無理だよね」と言われていたようなアイデアを、高度な次元で実現した作品が多くありました。クリエイターがストーリーを伝えるための手段として、テクノロジーを使いこなせるようになってきているからだと思います。

ただ、"夢の実現”だけで終わってしまっている作品は、昨年と違って、今年は賞はとれていませんでした。最終的に「世の中をどう変えた?」「人をどう動かした?」というところまで踏み込めた作品しか残らなくなっているという印象を受けました。

また、ここ数年「ストーリーテリング」が重要なテーマになっていますが、賞をとれなかった作品を見ていると、ストーリーテリングの意味を履き違えた施策が多いことに気づきます。ユーザーが共感しないようなストーリーを無理やり、強要している「Story Yelling」とも言うべき施策が目につきました。共感されないストーリーを莫大なマーケティング投資をしてユーザーに突きつけると、むしろユーザーはブランドを嫌いになってしまい、逆効果でしかありません。

僕は「ストーリーテリング」とは例えば、テレビCMを流して終わりではなく、そこから会話が生まれ、シェアされて…などマーケティング戦略全体が、ひとつの壮大な物語になるように企画することだと考えています。

15秒のテレビCMを作る際にも、起承転結などストーリーはあります。そうした発想をマーケティング全体に応用したもので、その実現にはテクニック、技術が必要。ストーリーのクラフトが弱いと共感されず、シェアもされず、プレスにも取り上げられることはありません。

真に優れたストーリーがあれば少ない投資で大きな効果を得ることができますし、世界のメジャーな企業はそこに向けて動いていると感じています。

最近のカンヌについて感じることは以前より、クライアントの参加が増えているということ。特に欧米の企業を見ると、エージェンシーと関わりのあるマーケティングセクション以外、製品開発部門や事業部の人たちへと参加者が広がっています。

カンヌがエージェンシーのクリエイターだけでなく、クライアント側の人たちにとっても、自分たちのビジネス、ブランドをどうつくっていくか、そのヒントを得られる場になっているからだと思います。

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