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コラム

いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾

場所や言葉に縛られない「人間にとっての本質的な気持ちよさ」を追求する

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「これからの日本は、地域が元気にする!」――ネットの登場により、日本全国どこにいても、遠く離れた他の地域と、さらには国境を超えて広い世界と向き合うことができる現在。
地域で活動するクリエイターは、その土地の特性を生かしたプロダクトやサービス、表現を生み出すのはもちろんのこと、その魅力を世界に向けて発信することで、業界全体に大きなムーブメントを起こしたり、日本の、そして各地域の魅力を再認識してもらうきっかけをつくることもできるようになりました。
コミュニティの密度が高いからこそ実現する企画、その地に暮らしているからこそ発想できるアイデア。テクノロジーの発展によってそこに情報の発信力、メッセージの拡散力が加わったことで、地域で働くクリエイターができることの可能性は大きく広がりつつあります。
第1弾の好評を受けて実現した、この 「いま地域発のクリエイティブが面白い! Vol.2」には、広告のみならず、プロダクト、パッケージ、空間、建築と幅広い領域のクリエイター9人が登場。地域で働くクリエイターが感じている「限界」、そして「可能性」とは?
等身大で、自分の仕事の今と、未来に向けた思いを語ります。


中村 俊介(しくみデザイン 代表取締役/シクミスト)

shunsuke

しくみデザイン代表、シクミストの中村俊介です。「シクミスト」というのは、2年ほど前から勝手に呼び始めた肩書きです。

私のやっていることをうまく言い表せる肩書きが見つからず、思い切って作ってしまいました。世の中のいろいろなことをいくつかのエッセンスにまで絞り込み、ちょっと視点を変えて再構成することで、目から鱗が落ちるような「シクミ」を考えることが得意なので、世の中を楽しくする新しい「シクミ」を作り出す「ヒト」で「シクミスト」にしました。

思わず踊り出してしまうような、そんな笑顔が生まれる「しくみ」をデザインするために10年前に福岡で起業しました。福岡出身ではありませんが、大学院で九州芸術工科大学(現・九州大学)に進学したことがきっかけで、この地で創業することになりました。大学院では、ユニバーサルデザインや記号論などの研究をしながらメディアアートの制作しており、その時の作品が現在の仕事につながっています。

福岡を選んだのは成りゆき、というか、たまたまですが、生活環境も良いし、自分たちのペースでのんびりと仕事ができるので、今はわりと気に入っています。

なぜ会社を作ったのかというと、世の中にまだないジャンルを作り出したかったからです。

私は昔から、何でもそこそこできるけど極める前に満足してやめてしまう、器用貧乏な性格でした。デザインもまあまあできるし、プログラミングも趣味やバイトでやっていたし、文章書くのも結構好きだし。しかしどれも、それだけでプロになれるほどのレベルではありません。

今あるジャンルの仕組みを理解するのは得意でも、理解さえできればそれで満足で、そこで争うのは苦手だったのです。

だから、他人と争わなくてもいいように、常に新しいジャンルを作っていくのが自分には向いているのだろうと漠然と思っていました。新しい分野を切り拓いて、そこで私の想像もしなかったようなすごいことをする別の誰かが現れたときに、喜んで次の分野開拓に取りかかりたい。そう思っているんです。

そのため、創業当初からWEBデザインとかグラフィックデザインとか、そういうすでに世の中にある仕事はほとんどせずに、自分たちが作った仕組みを使ったコンテンツを提供してきました。こんなものがあったらもっと楽しいのに、もっと便利なのに、という単純な気持ちを、そのまま形にしているというイメージです。

例えば、カメラを使った、見ている人の動きに反応するインタラクティブ・デジタルサイネージ。

映っている人の髪型や顔が変わったり、ディスプレイ上に表示された風船を割ったりといった参加型の広告は、実はしくみデザインが最初に実用化したんです。こうした特許も、いくつか持っています。

10年前、日本では「デジタルサイネージ」なんて言葉はまだなかったので、私たちは「インタラクティブ広告」と呼んでいました。それが今では多くの企業が同様の施策をするようになり、広告界でも一般的な手法として認識されています。ローンチ当初は、「確かにおもしろいけど、どう活用していいのかよくわからない」と言われていたことを思うと、やっと新しいジャンルができてきたなぁと嬉しくなります。

次ページ 「すごいは一度だけ、楽しいは何度でも。」に続く