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コラム

CSR視点で広報を考える

マレーシア航空機撃墜による衝撃 航空会社の危機管理能力はどこまで要求されるのか?

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マレーシア航空機撃墜で米ロ対決姿勢は鮮明に

7月20日ロイターは米情報機関の分析内容を発表した。この内容は、マレーシア航空機撃墜事件をめぐる米情報機関の分析結果として在ウクライナ米大使館のWebサイトに掲載されたもので、以下の内容が記載されている。

  • ロシアからウクライナの分離派(親ロシア武装勢力)向けに搬送された武器が、過去1カ月の間に増加したことを確認した。ロシアは先週末には戦車、装甲兵員輸送車、ロケット発射装置などを搭載した車両約150台を供与した。また、ロシア南西部の施設でロシアが分離派の戦闘員らに訓練を提供している可能性を示す情報もある。これには防空システム訓練も含まれる。
  • 親ロシアの分離派は地対空ミサイルシステムの操作が可能で、過去数カ月間に大型輸送機2機を含む10機以上を撃墜した。
  • MH17便が交信を絶ったとき、ウクライナ南東部の分離派が支配する地域から地対空ミサイルが発射されるのを確認した。このミサイルはソ連時代に開発された「SA11」とみられる。
  • ウクライナ政府がYouTubeに投稿した分離派のやり取りを傍受した内容によると、分離派は早ければ7月14日にはSA11地対空ミサイルを入手していた可能性がある。分離派はBUK=ブク(SA11)の入手と配置について繰り返し言及していた。
  • ソーシャルメディアに17日に掲載された内容によると、SA11は、分離派が支配するトレーズとSnizhneを通過した。いずれも墜落現場とミサイルが発射されたとされる地点に近い。この場所からSA11を発射すれば、MH17便を撃墜することは可能だ。
  • ウクライナもSA11を使用するが、同国の防空システムが墜落現場の範囲内では活動していなかったと確信している。また、ウクライナは、今回の衝突では地対空ミサイルを使用していない。
  • インターネットに掲載された会話では、分離派の指導者が別の人物に対して一部の分離派が航空機を撃墜したと述べている。同機が民間航空機だったことが判明した後、分離派は航空機の撃墜やBUK保有に関するソーシャルメディア上の書き込みを削除した。
  • ウクライナ治安当局が報道機関に提供した音声データは情報アナリストが分析を行い、その結果、同データが分離派の指導者による会話であることが確認された。
  • ソーシャルメディアに掲載された動画では、SA11が東部ルガンスク州クラスノドンを通ってロシアに戻って行く様子が撮影されている。少なくともミサイル1本がなくなっており、発射された可能性を示している。
  • 墜落現場での状況は、分離派が同地域を完全に支配していることをはっきりと示している。

これらの多くの証拠に対して、現時点で、ロシア側の反撃は、ウクライナ政府が分離派の関与を示す証拠として主張している会話の盗聴記録について「捏造」であると報じているに留まっている。

ロシアが、経済的基盤を背景として密接な関係を築いてきた一部の欧州諸国からも今回の問題では厳しい対応・制裁措置が予想されているだけに、ロシアが分離派との親密な関係を絶ち切れるかどうかが重要な試金石となっている。

しかし、一方で、国内事情はむしろ分離派支援で結束を固める状況がより一層顕在化してきており、今後、米国・欧州諸国や国連などとの対決姿勢が鮮明となる可能性も否めない。

そのような状況下で、マレーシア航空の危機管理能力に対して疑問を呈するメディアも拡散している。

>次ページ「問われる航空会社の危機管理能力」に続く

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