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コラム

いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾

1次、2次、3次、そして6次産業は、クリエイティブの力でもっと面白くなる!

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「これからの日本は、地域が元気にする!」――ネットの登場により、日本全国どこにいても、遠く離れた他の地域と、さらには国境を超えて広い世界と向き合うことができる現在。
地域で活動するクリエイターは、その土地の特性を生かしたプロダクトやサービス、表現を生み出すのはもちろんのこと、その魅力を世界に向けて発信することで、業界全体に大きなムーブメントを起こしたり、日本の、そして各地域の魅力を再認識してもらうきっかけをつくることもできるようになりました。
コミュニティの密度が高いからこそ実現する企画、その地に暮らしているからこそ発想できるアイデア。テクノロジーの発展によってそこに情報の発信力、メッセージの拡散力が加わったことで、地域で働くクリエイターができることの可能性は大きく広がりつつあります。
第1弾の好評を受けて実現した、この 「いま地域発のクリエイティブが面白い! Vol.2」には、広告のみならず、プロダクト、パッケージ、空間、建築と幅広い領域のクリエイター9人が登場。地域で働くクリエイターが感じている「限界」、そして「可能性」とは?
等身大で、自分の仕事の今と、未来に向けた思いを語ります。


池端宏介(インプロバイド)

ikebata

広告業って、今でこそ「受注待ちじゃダメだ!自分たちで仕事をつくらなきゃ、生き残れん!」という向きがありますが、そもそもは、まず何らかの産業があって初めて仕事が成り立つ業態ですよね。ですので、農業王国・北海道では、必然的に農業に関係する仕事が多いと思います。

具体的には、ホクレン農業協同組合連合会や各地のJAなど、組織の広報戦略や販促キャンペーンから、個々の農家さんのロゴやパッケージ、WEBサイトに至るまで大小さまざまな仕事があります。

2001年、新卒で日本デザインセンターにコピーライター職として入社した僕は、トヨタのカタログや無印良品の販促物の企画・制作に携わりました。

2004年には故郷・北海道への移住を決意。通勤や食生活など、より暮らしやすい風土を求めたのと、地域により深く関わることができる仕事がしたいという思いが移住の理由です。

札幌ではデザイン制作会社のマーケティング・コミュニケーション・エルグでお世話になり、札幌の洋菓子店のブランディングや就職情報誌の取材や編集に携わりました。

北海道内で完結する仕事が多く、地域密着感はとても強かったです。

その過程で、農業や漁業、それにまつわる二次産業など、北海道ならではの仕事をもっとしていきたいと思うようになりました。

2008年、エルグから東急エージェンシー北海道支社へ転職。広告会社でプロジェクトの上流からディレクションをしてみたいというのが転職の理由でした。

2010年には「制作現場でつくることに専念したい」へと気持ちが回帰し、札幌の制作会社 デザインピークスに転職。2013年に現職のインプロバイドに至り、規模に応じてフリーのコピーライターとして活動しています。

インプロバイドはグラフィックデザインのみならず、WEBサイトの制作全般も得意領域。道内の農業関係者とのパイプも多く、僕自身、チャレンジできる領域が広がっています。

ホクレン「よくねたいも」

エルグ在籍時代の2007年に手がけたホクレンの「よくねたいも」は、今思えばターニングポイントになった仕事です。

元々、これと言った名前がなく、“「CA貯蔵」という特殊技術で寝かせることで、おいしくなったじゃがいも”という特徴を持つ商品でした。

2001年に道内限定で生産・販売を開始し、2005年には同外での販売を開始。最初のオリエンは「技術に裏付けされたおいしさ」を訴求するため、その商品にキャッチコピーをつけたいという内容でした。そこで提案した「よくねたいも。」というキャッチフレーズが「むしろ商品名をこれにしちゃおう!」と言ってもらえるほど、内部で高く評価され、翌年ネーミングとパッケージのリニューアルへと至ったのです。

北海道産のじゃがいもは通常、初夏から春先まで流通していて、それ以外の時期は九州や関東産のじゃがいもが店頭に並びます。登場した「よくねたいも」は3~7月に蔵出しされる商品。これにより一年を通じて北海道産のじゃがいもが流通するようになりました。

糖度も高く、味も好評で、今では北海道以外の地域の量販店でも売られているそうです。

僕の中で「商品力に、デザイン力やコピー力が加勢する事例」として、ひとつの実体験が得られた気がします。「よくねたいも」はSCC(札幌コピーライターズクラブ)の最高賞もいただき、TCC年鑑にも掲載されました。

何よりも「よくねたいも」という平仮名6文字で「ああ、あれね」と親戚や初対面の人にもわかってもらえる。僕自身の自己紹介がしやすくなりました

次ページ 「その土地の魅力や課題を真に理解したコピー、デザインを」に続く