【前回のコラム】「「枠」から「人」を超えて:マーケティングオートメーション」はこちら
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
データアナリティクスの目的
アナリティクス(分析)とは、デジタルマーケティングでは切っても切り離せない大事な考えではありますが、昨今のビッグデータやデータサイエンティストにまつわる話の中で、分析そのものがビジネスにおいて何を目的にしているのか、というのは重要な問いです。ブームとしての「データドリブンマーケティング」が叫ばれていても、実際にあなた自身がデータのビジネスへの活用課題について真剣に考えていなければ、アナリティクス自体は自己目的化してしまいます。
アナリティクスの報告形式は、ディスクリプティブ(記述的)なものが基本で、もっとも簡単なウェブ解析レポートは、「過去に何が起こったか」を説明するためのものです。もちろんそれは今後のアクションを決めるためのものだとしても、分析そのものは過去自体を説明することが主目的です。逆に過去起こったことをもとにして未来を予測するのがプリディクティブ(予測)アナリティクスで、財務や生産管理のような部門では、過去を説明するだけでなく未来を予測し、それをビジネスの計画に反映させることが目的です。
ビッグデータから生まれたプリスクリプティブ・アナリティクス
上記のようなアプローチはデータ分析をどのような目的で実施していくのか、という形の進化ではありますが、最新のアナリティクスはプリスクリプティブ(処方的)アナリティクスと呼ばれます。
企業経営におけるデータ活用の大家であるトーマス・ダベンポート氏がビッグデータの環境が従来のスモールデータ分析とどう違うかを解説していますが、このプリスクリプティブ・アナリティクスは、大量のデータをもとにしたより進んだデータ分析であり、過去をもとに分析して未来を予測するだけでなく、処方的という言葉通り、そのケースにおいて取るべき意思決定を明確にするための分析アプローチです。
実際この言葉はガートナーが毎年発表している「テクノロジのハイプ・サイクル」の米国版には、「黎明期」として記載されており、一方のプリディクティブ・アナリティクスは最後期の「生産性の安定期」に既に入っています。ビッグデータという言葉のポジションが「過度な期待のピーク期」に入っているのをみると、プリスクリプティブ・アナリティクスは今後更に進化するといえるでしょう。
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