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コラム

CSR視点で広報を考える

デング熱ほか感染症への正しい理解、上陸時の適切な対処を

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【前回のコラム】「エボラ出血熱 人類史上初めての脅威 日本上陸も」はこちら

デング熱:直近の海外渡航歴のない感染では約70年ぶり

ここ最近、日本ではデング熱による話題が集中している。感染者はいずれも直近に海外渡航のない10歳未満~50代の男女34人(8月14日~9月1日発症)で、東京都渋谷区の代々木公園やその周辺を訪れたことがわかっている。

デング熱とは、デングウイルスによる感染症で、感染者の血を吸ったヒトスジシマカなどの蚊が媒介する。人から人への直接感染はなく、感染後3日~7日で38度以上の高熱や頭痛などの症状が出て、1週間程度で回復する。

これまでに東京、埼玉、千葉、茨城、神奈川、新潟、大阪、青森、山梨に住む感染者が確認され、感染疑い事例を含めるとさらに、他県に広がる可能性が出てきている。

過去の研究事例としては、ウイルスをもった蚊が年をまたいでウイルスを存続したものはなく、今年限りの事態と考えられているが、代々木公園周辺では、噴水や水辺、低木など、蚊が群棲する場所が多数あり、媒介した蚊の居場所を特定することは困難と見られている。

このような場合には、極力その周辺地域に立ち寄らぬことが重要だが、近隣住民などは、長袖、長ズボンなどの衣服への留意と、薬品による防虫対策などを講じる必要がある。蚊は10月くらいまで吸血活動を続けるので、しばらくは感染者が増加することはあるが、活動範囲は限られていて、蚊の棲息範囲が分散することは少ないと想定されている。

世界の感染症事情

8月28日、世界保健機関は、世界で猛威をふるうエボラ出血熱に対して封じ込めに向けた対応をまとめた行程表(ロードマップ)を公表した。同日付の世界保健機関での死者数の総計は、1552人(リベリア694人、ギニア430人、シエラレオネ422人、ナイジェリア6人)に上り、疑い例を含めた感染者は3069人となっている。

公表で注目を浴びたのは、これらは報告・確認された事例であり、実際に報告されていない事例を含めた場合、感染者は既に現時点での2倍~4倍に上る可能性があり、伝染の蔓延が食い止められるまでの間に感染者数は2万人を超えると指摘したことである。

2002年11月に中国広東省で発症し、2003年7月に制圧宣言が出されたSARS(重症急性呼吸器症候群)は、その間に30カ国に感染拡大、8069人が感染、775人が死亡したが、世界保健機関は、この会見で、エボラ出血熱の拡散危機について、今後6カ月~9カ月でアジア、欧州、米国などの10カ国以上で感染が広がる懸念を発表し、世界を驚愕させた。

一方、国内で話題は低いが、中東地域でも致死性の高い中東呼吸器症候群(MERS)が拡散している。8月20日付の欧州疾病予防管理センター(ECDC)によれば、MERSの死者数は、325人(サウジアラビア300人、アラブ首長国連邦9人、ヨルダン5人、カタール4人、英国3人、オマーン2人、イラン2人)となっており、今後大規模に行われるイスラム教徒の巡礼で爆発的な感染拡大につながる懸念がもたれている。

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