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CMO経験者がトップに就任、アドビ新社長インタビュー——アドビ システムズ 代表取締役社長 佐分利 ユージン氏

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2014年7月にアドビシステムズ(以下、アドビ)の代表取締役社長に就任した佐分利ユージン氏は、前職ではマイクロソフト社において19年間、プロダクトマーケティング、オペレーション、営業、パートナー プログラムなどを牽引してきたキャリアを持つ。さらに、その内の9年は日本に在籍。2006 年から2009年までは、CMOとして日本市場におけるマーケティングを統括してきた経験もある。日本でもデジタルマーケティング市場が活性化する中、アドビもこの市場での躍進に注力している。CMO出身の経営トップは、アドビの中でも特にマーケティング領域でのビジネスをどう率いていこうとしているのか。

日本型の縦割り組織が、IT導入の足かせに

——日本の市場環境をどう見ているか。

アドビシステムズ 代表取締役 社長 佐分利 ユージン 氏

私は日本でも約9年、仕事をした経験があるので日本企業ならではの組織や体制の独自性は理解している。その独自性とは特に大企業において、各事業部の力が強く、その運営を任されているケースが多い点だ。この体制は市場のニーズに即座に対応できる、機敏な組織文化が育まれる利点がある一方、世界的に企業におけるガバナンスの重要性が叫ばれる中、その流れから乗り遅れてしまうというデメリットも生んでいる。

そしてコーポレートガバナンスが利きづらい環境は、特にデジタルテクノロジーの全社的な導入による企業改革が国際競争力を左右する時代、日本の企業の足かせとなっている。日本企業にとってデジタルテクノロジーの導入は急務である。事業部間協業により生まれるポテンシャルをアドビとしてサポートをしていきたい。

マーケティングを“経営ゴト”にしていきたい

——アドビでは近年デジタルテクノロジーの中でも、デジタルマーケティングの包括的ソリューションである「Adobe Marketing Cloud」を通じて企業のマーケティング活動をサポートする事業に注力している。

私自身に日本市場でのCMO職経験があるので、マーケティング領域は個人的にも関心の強い事業だ。アドビのようなIT企業のトップに就任する人は製品開発や営業出身が多く、マーケティング出身者が就任するのは、米国においても珍しいケースであり、それだけアドビがマーケティング領域の事業に注力をしている表れだと受け止めている。

欧米の企業ではCMOは、顧客をもっとも知る立場として、経営戦略会議の場においても重要な役割を担うのが通例だ。しかし日本ではCMOという役職を設置している企業は、全体の数パーセント程度という話も聞き、経営においてまだマーケティングが重要視されていないという印象を持っている。しかし技術力やサービスの質だけでは、これからのグローバル市場で戦っていくのは難しい。それを適切な人にいかに魅力的に伝えていけるか、マーケティング力がますます重要になっていくし、そこでのデジタルマーケティングソリューションの導入が競争力を左右する重要な要素となっている。アドビとしては「Adobe Marketing Cloud」に代表されるソリューションを通じ、マーケティングを“経営ゴト”にしていきたいと考えている。

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