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豊かさ、便利さに代わる「美しさ」という新しい価値ーーUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン

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2015年注目のデジタルマーケティングキーワード

「美しさ」の追求が新たな価値基準に

例えばここ30年程の間に、日本中を覆うように増え続けている高速道路。これは、豊かさや便利さを追求し続けてきた経済大国としての象徴とも言えるかもしれない。しかし、一体どれくらいの人々がその必要性を感じているのだろうか?

ZEPPELIN(ツェッペリン)代表取締役の鳥越康平氏は次のように語る。

ZEPPELIN 代表取締役鳥越康平氏 京都工芸繊維大学卒業後、韓国サムスン電子にてUX・UIデザイナーとして従事。帰国後2005年10月ZEPPELINを設立し、現在は、デザインを軸に、ビジョン形成や新規事業開発に力を入れている。

ZEPPELIN 代表取締役鳥越康平氏
京都工芸繊維大学卒業後、韓国サムスン電子にてUX・UIデザイナーとして従事。帰国後2005年10月ZEPPELINを設立し、現在は、デザインを軸に、ビジョン形成や新規事業開発に力を入れている。

「私は、高速道路で2時間かかる道のりについてUX視点で考えたとき、『高速道路をなくす』という発想をします。速さではなく、目的地までに通る町や村で起こるストーリーにこそ、価値があると考えるからです。つまり、その町特有の農作物や、その土地の人々との対話といった体験をデザインし、新しい体験軸を生み出すことで6時間かかる道のりは、無味乾燥な2時間の道のりよりも、はるかに温かく、出会いや発見の多い価値ある道のりになると思うのです。」

増やすのではなく、減らすことから価値を生み出すという、逆転の発想だ。

高度成長期以降、時代の流れは豊かさや便利さが最大の達成目標とされる傾向が加速し続けた。できるだけ多く、早く、何かを増やすことばかりを追い求めてきた。

しかし、モノにあふれた飽和状態を続けていくことが、これからの社会、私たちにとって本当に必要なことなのか。この問いに対し、同社は、「美しさ」の追求が新たな価値基準の一つになると提唱している。

高速道路の例に戻れば、寄り道とも言える一つ一つの小さな体験をじっくりと味わいながら進むという行為、そこに人間らしい「美しさ」があると考えるのだという。

同社は、デザインを軸としながら、新しい体験(ユーザーエクスペリエンス)を生み出す組織だ。ビジョン形成や新事業創出からUX/UIデザイン、製品やサービス、アプリケーションの企画・開発を事業とするベンチャー企業だ。

鳥越氏は「今後、選ばれ残っていくのは、フィーチャーフォン時代に1mmの薄さを競い合ったような細かな機能や、他社との優位性を追う考え方ではありません。『存在意義』を問い続けることで描き出された“ビジョン”と、そのビジョン達成に対するパッション(熱量)があること、これら2つから生み出されるものだと思っています」と話す。

ビジョンから発想し、事業を進めていく方法は、新しい物事を生み出す際に強い力を発揮する。

先の高速道路を例に考えると、「これからの時代に必要なのは、都心への一極集中ではなく地域と地域が密につながることで生まれる新しい出会い」というビジョンを設定したとする。ここから発想していくと、便利な高速道路はあえてなくし、その間の地域をつなぐ人々の出会いの場や、出会いを促す文化の醸成をデザインする必要がある、という発想に広がっていく可能性がある。

「明確なビジョンを元にした発想は、これからの時代に選ばれるものづくりの核であり、次の時代を作り出すイノベーションにつながります」。

次ページ「「美しさ」は人間本来の感覚の中に宿る」

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担当:事業戦略部 郡山