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コラム

良いコピーをどうやって書くか、ということより先に知っておかないといけない話。

「作品」と呼ぶのをやめませんか。(新年特大号)

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そして、クリエイティブ業界は、広告主とのズレにも直面し始めています。
これはクリエイティブだけの問題ではないですが。

「ここらで広告コピーの本当の話をします。」著:小霜和也/発行:宣伝会議(2014/10/29発売)詳細はこちら

昨年「ここらで広告コピーの本当の話をします。」を出版してから驚いたのが、広告主からの問合せの多さです。
超大企業のマーケ担当役員から連絡あったり。
え、そんな人が読んでるわけ?みたいな。
この本の主ターゲットは若手コピーライターと銘記しているにもかかわらず。
これは何を意味するかというと、今の広告主は非常に勉強しているし、クリエイティブでさえ自分でやろうとしてるってことです。
冒頭のネーミング研修もその流れです。
30年ほど前、僕がこの業界に入った頃を思うと今昔の感があります。

当時の宣伝部はほぼエージェンシーに丸投げでした。
プレゼンも、
「A案、B案、どちらがいいですか」
「そうですなあ、そこはまあ、プロのお考えにおまかせして」
「じゃあB案でいきます」
「よろしくお願いします」
そんなかんじだったり。
エージェンシーが宣伝部に広告のことを教えてあげる、といった関係でした。

今は逆。

僕の肌感では、広告主がエージェンシーを1馬身リードしています。
特にアドテクノロジー周辺では、営業さんの多くが広告主の意識にキャッチアップできてないのではないでしょうか。
「コンテンツマーケティングやりたいんだけど」と言われて「了解です!」と即座に対応できる、あるいは言われる前に提案する、そういう営業さんは少ないように見えます。

だから、エージェンシーを飛ばしてプロダクションに連絡取る広告主が増えています。
クリエイターについても、これまではまずエージェンシーが指名されて、エージェンシーがクリエイターを選んで連れて行く、というのが一般的でしたが、今後は広告主がエージェンシー経由で、あるいは直接、クリエイターに依頼するのが通常になっていくでしょう。

その背景にはやはりメディアエージェンシーとクリエイティブエージェンシーの分離があると思っています。
メディアを切り離されると総合エージェンシーはその総合を支えてきた力を失ってしまいます。
本質的にプロダクションと変わらなくなる。
それに、特にデータ運用領域、PR領域、これまでBTL※1とされていたコンテンツ領域、などで総合エージェンシーがカバーし切れなくなってきています。
※編集部注 Below The Line の略。テレビCMをはじめとする認知拡大のためのマス広告(Above The Line)に対し、ラインより下、つまりもっと購買に近いところでマス広告の補足的な役割を担うとされてきた領域。

そうなると、これまで3社コンペ、5社コンペと言えば広告エージェンシーのコンペでしたが、これからは、ヤフー・ジャパン、Tポイント・ジャパン、アクセンチュア、リクルート、サニーサイドアップの5社、などといったコンペが出て来るかもしれません。
どの領域でコミュニケーションを特化させていけばいいか?がテーマとなり、エージェンシーやクリエイティブはインハウスでいいので、などと。

それではいけません。
エージェンシーはあくまでコミュニケーション全ての司令塔でいてくれなくては。
そのためにはまず営業さんが広告主の意識に追いつき追い越せ、だし、クリエイティブ業界もそこに併走するために、そろそろ数十年の固陋な慣習から抜け出す時期が来ていると感じるのです。

次ページ 「そう考えると、これからコピーライターになろうという人たちほど」へ続く