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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「成長は“自分にはできないことがある”への気付きから始まる」——マイクロウェーブ加藤社長に聞く

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【前回のコラム】「「ポジションが人をつくり、成長を促す」——AOLプラットフォームズ・ジャパン 花崎社長に聞く」はこちら

時代の流れがますます速くなっている昨今。企業に求められる人材においても、流されずにしっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が重視されてきている。これはマーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる資質である。
このコラムでは、企業のトップに対して、人材育成について考えていることや実践していることを聞いていく。その中で、「マーケティング思考ができて、なおかつ実際に行動に移すことができる人材」を育成するにはどうすればいいのかを探っていきたい。
今回は、「戦略・アート・テクノロジー」を活用して事業を最適化し、顧客企業の価値を高めている、マイクロウェーブ 代表取締役社長 加藤 孝光氏に聞いた。

マイクロウェーブ 代表取締役社長 加藤 孝光 氏

リーダーとは「外部環境を把握しチームの方向性を示せる人」のこと

——貴社がリーダーに対して“求めている力”とは、どのようなものでしょうか?

リーダーに必要な力をシンプルにまとめると「外部環境を把握し、自チームの方向性を示す者」だと思っています。ここで言う外部環境とは、今関わっているクライアントのことや事業領域はもちろん、広く言えば、時代の流れなども含みます。こうした自分がかかわる以外の事象を理解していないと、会社の目指しているビジョンも理解できないでしょうし、何よりも部下を成長させることができないと思います。
この「部下の成長を促す」ことは、リーダーに求められる重要な役割のひとつです。たいていの場合、部下は自身の視点だけでは、今やっている仕事によって自分が成長しているのかを判別するのが難しい。だからこそ、外部環境を理解しているリーダーが、部下の仕事と外部とをつないであげるというサポートが必要なのです。

——「つないであげる」というのは、つまり「現在行っている仕事は、あなた成長にちゃんとつながっていますよ」ときちんと伝えられているか、ということですね?

そうです。若い社員は、仕事を細かいタスクの塊ととらえがちです。だから、「目の前の仕事の目的」を見失ってしまうと、どうしても「何でやってるんだろう?」という疑問が先に立ってしまい、集中して仕事にあたれなくなってしまう。その結果、成長が阻害されてしまうのです。「会社は今、どんな未来を目指して動いているのか」「自分は将来どうなりたいのか」「目の前にあるこの仕事は、何のために行っているのか」……これら部分をクリアにするためにも、リーダーが部下と外部環境とを繋いであげることは大切だし、それができないチームはメンバーが育っていかないと思います。
ちなみに、メンバーが育つチームと育たないチームの判別は簡単です。リーダーに対して、「あなたの部下の○○さんは、この先どうなりたいと思っている人なんですか?」と聞いてみる。そこで「本人に聞いてみます」と言っているようでは、リーダー失格です。

——リーダーに求められる資質は「外部環境の把握」と「部下に合ったストーリーづくり」ということですね。逆にリーダーに対してそういった力やマインドを持ってもらうために行っていることはありますか?

コミュニケーションが正確にとれる組織になるように心がけています。例えば、「海外のライバルたちは、我々よりも安いコストで我々と同程度かそれ以上のパフォーマンスを発揮している」という事実はとても脅威です。ですが、属している部署や役職などのレイヤーによっては、その言葉の意味がピンと来ない人もいます。そうならないよう、例えば上の役職者から先ほどのような話があった場合、現場が理解できる形でリーダーが情報を伝えているか。良い組織というのは、上と現場との意思疎通がしっかり行われているものだと思っています。
そうした組織を目指し、各グループや局単位で、マネジメントについて私が「こういった方法を行ってはどうか」という方向性を指し示しています。実際の行動はリーダーに任せますが、求める組織像を明確にしたり、マネジメントのための選択肢を提供したりして彼らをサポートしています。

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