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コラム

健康・医療・美容でビジネスをするためのコラム

なぜ今、ヘルスケアマーケットに注目が集まるのか?(下)

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【以前のコラム】
「なぜ今、ヘルスケアマーケットに注目が集まるのか?(上)」はこちら
「なぜ今、ヘルスケアマーケットに注目が集まるのか?(中)」はこちら

今年の春から始まる新しい「食品機能性表示制度」により、健康機能性の根拠を示す複数の科学的根拠の届け出をもって、その飲食料品の機能性表示が可能となる。健康・美容ビジネスへの注目の高まりの背景、またそこでのマーケティング・コミュニケーションのポイントについて、宣伝会議が3月12日に開講する「ヘルスケアマーケティング実践講座」の講師であり、マッキャンヘルスケア ワールドワイドジャパン CKO(最高知識責任者)の西根 英一氏に聞いた。

本記事は、宣伝会議2015年3月号の特集「新しい機能性表示制度スタートで盛り上がる!ヘルスケア市場のマーケティング」の掲載記事より、一部抜粋したものです。

共創互恵の市場づくりが鍵

コラムの第一回に、“ヘルスケアビジネスは、世の中の健康課題を解決するか改善するかして、「社会的価値」を生み、その社会的価値がさらなる企業活動の商機にもなるCSV(Creating Shared Value、共有価値の創発)という考え方と親和性が高い”と述べた。まさしく、ヘルスケアビジネスを牽引し、成長を遂げた市場は、メタボの例に見るように、この《共創互恵市場》をつくり上げてきたと言える。

第二回で紹介したEBNについても同様、《ソーシャルグッド》な装いで、消費に変革をもたらすものになることが期待される。食料品売り場には、特価セールといった価格のものさしだけでなく、EBNというもう一つのものさしを持った消費者が現れ、品定めをするようになる。特設された(のちに常設となる)売り場には価格表示とEBN表示によって、市場に変革がもたらされるはずだ。

予防医療の世の中にあって、ソーシャルグッドなポテンシャルを持ち、市場の成長が期待されるものに、「睡眠健康」も挙げられる。先日、都内のある大学の精神科の教授から、こんな話を聞いた。「奇数月は、不眠を訴える患者さんで外来が混む!」というのだ。1月、3月、5月、7月、9月、11月。確かに、年度の節目となるようなライフイベントの多い月であったり、季節の変わり目の月だったり。

この「節目」という時期に、どうも人は眠れなくなるようだ。一般に、不眠はメンタルヘルスの枠組みの中で注目されるが、睡眠の専門家が別の視点から問題視するのは、不眠は肥満を助長するであったり、不眠があると2型糖尿病の発症が上昇するであったり、不眠により高血圧の発症が高まる、といった生活習慣病との関係である。診察室でも、糖尿病の患者、高血圧症の患者に不眠状態を問うことが実地診療の場で大切である、と彼らは説く。

つまり、生活習慣病やメンタルヘルスの予防医療の面で、睡眠健康は欠かせないアプローチなのである。生活改善テーマは、なにも食事や運動や禁煙だけでなく、睡眠もまた生活習慣病の発症に深く関わるものであり、改善すべき生活習慣の一つであるということ。平成25年度からはじまった「健康日本21(第2次)」では、「休息」(睡眠に代表される)も健康テーマに加わり、食事・運動同様、睡眠においても量と質がより一層問われることになった。これを改善するのが「睡眠健康」の目指すべきところとなる。

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