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「北海道」のブランド力で開拓 拡大するヘルスケア市場に挑む――アミノアップ化学

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企業を変えた「売れ続ける仕組み」
成熟化したと言われる環境下でも、新たな顧客を創造し、市場を創る経営トップがいます。そして、そこには瞬間的に売れるだけでなく、売れ続けるための全社を挙げた取り組み、さらには仕組み化があります。商品戦略、価格戦略、流通・販路戦略、プロモーション戦略に着目し、売れるためのアイデア、仕組みを解説・紹介していきます。

【企業を変えた「売れ続ける仕組み」】
商品訴求と企業ブランディングで進める大麦市場活性化
小ロット販売でB2BからB2Cへ顧客が拡大〜タイセイ
ネットでデザイナーズ家具を販売 絞り込むことが逆に人を集めた「リグナ」


アミノアップ化学のここがポイント!

  • 自社製品の価値を上げるために、一過性ではなく持続的な仕組みを早くから構築。
  • その結果、国内外のネットワークを通じて製品の有用性を示す豊富な科学的データを蓄積。
  • ヘルシーDoの普及啓発を社会貢献と捉え、関係者と連携しながら、地域経済の発展に生かそうと活動。

データの蓄積が商品の信頼性に

いつまでも若々しく健康でいたい。そんな現代人の願いに呼応するように、私たちの日常には健康食品があふれている。しかし消費者からすれば、商品の効能があいまいで分かりづらいと感じることが多いのではないか。その理由の一つに、薬事法がある。

健康食品が医薬品並みの効能を持つと消費者に期待させて販売しないよう、薬事法では表示や広告表現に制限を設けているからだ。グレーゾーンが多く玉石混交といわれる健康食品の中で、消費者が納得のいく商品と出会い、メーカーが他社と差別化を図ることは簡単ではないのかもしれない。

アミノアップ化学が開発した、科学的に裏づけられた機能性の高い素材は、海外でも製品化が進んでいる。

アミノアップ化学が開発した、科学的に裏づけられた機能性の高い素材は、海外でも製品化が進んでいる。

そうした健康食品業界で、優位性を発揮しながら成長を続けている企業がアミノアップ化学だ。北海道札幌市に本社・工場を置く同社は、道内バイオベンチャー企業の草分け的存在。「身近な天然素材から健康に役立つ製品をつくる」という理念のもと、科学的に裏づけられた機能性の高い素材の開発を行っている。

代表的な素材は、キノコの菌糸体を長期間培養して作る担子菌培養抽出物「AHCC」だ。免疫力を高め、抗がん効果などが期待できる物質で、これを主成分にした健康補助食品を主力商品と位置づけ、医師や薬局・薬店を通じて販売している。

「もともと当社は派手なプロモーションや広告宣伝をしてこなかった会社。それよりは、科学的データの蓄積によって商品の信頼性を高めたいという考えが根づいています。そのため、医師や研究者との独自ネットワークとしてAHCC研究会を1994年に発足し、科学的データの蓄積・共有を長年継続してきました。

当初は約20人でしたが、現在は約20カ国・約400人の専門家が研究成果を発表し合う国際学会に発展。そこで得た有用な科学的データを商品情報として発信することが、地道ながらも息の長いマーケティングにつながっていると思います」と社長の藤井創氏は話す。

この他、血流改善や疲労回復などの作用を持つライチ由来低分子化ポリフェノール「オリゴノール」、抗ストレス作用に優れた酵素処理アスパラガス抽出物「ETAS」も、同社が特許を持つ機能性素材として海外でも製品化が進んでいる。

北海道ならではの取り組み

AHCCの本培養室。これまで難しいとされていた大型タンクでの培養システムを、独自技術によって可能にした。
AHCCの本培養室。これまで難しいとされていた大型タンクでの培養システムを、独自技術によって可能にした

注目すべきは、こうした科学的裏づけを蓄積してきたアミノアップ化学の技術と企業姿勢が、いま北海道独自の食の高付加価値化の取り組みにおいて、重要なポジションを築いていることである。

北海道食品機能性表示制度(通称「ヘルシーDo」)をご存じだろうか。2013年4月に全国初の取り組みとしてスタートしたこの制度は、食品に含まれる機能性成分について「健康でいられる体づくりに関する科学的な研究」が行われている事実を北海道が認定するというもの。

制度が始まる前までは、機能性食品として効能効果を表示し、消費者に対し科学的データを備えた商品であることを示すためには、「特定保健用食品(トクホ)」の許可取得しか選択肢がなく、大手企業でないと取得が難しい状況にあったが、こうした状況を改善しようと北海道が取り組みを始めたものだ。

制度の目的は、食品の高付加価値化によって北海道の成長戦略である食産業に弾みをつけ、地域経済を活性化していくこと。また、前述のような保健機能の表示を求める消費者ニーズに応え、適切な情報提供をしていく狙いもある。

アミノアップ化学は、この制度で認定されている機能性素材のメーカーであり、それらを使って製品化も行っている。いわばヘルシーDoの川上から川下までを支える重要な役割を担っているのである。

この制度を知った時、藤井氏は「制度に合わせて何かを始めるのではなく、いままで続けてきた科学的データの蓄積をそのまま生かすことができる」と感じたという。実績を活用できる公的な仕組みがついてきたということだろう。

それだけではない。ヘルシーDoの認定商品は、食品・飲料・嗜好品・サプリメントなど計18社26品目(2015年2月1日現在)。うち23品目がアミノアップ化学の機能性素材を使った商品だ。

具体的には「オリゴノール」を使った清涼飲料水、ドレッシング、コロッケ、ドーナツなどがその例だが、これらを製品化するメーカーは、すでに認証実績のある機能性素材を使うことで、要件となる必要量がきちんと製品に入っていることを確認できればいい。つまり、製品で臨床試験を一から行う必要がないため、どんな製品をつくるかという企画そのものに力を注げるというわけだ。

その関係性について、藤井氏はこうつけ加える。「私たちは認定企業であると同時に、今後ヘルシーDoの認定を受けたいと考えている企業の製品開発のパートナーでもあります。認証素材のAHCCやオリゴノールを使って製品開発のお手伝いをする場面ではBtoBですが、見方を変えれば、ヘルシーDoの仕組みを通じたBtoBtoCとも言えます」。

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