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TABLE FOR TWO×umari×GLIDERによるプロジェクト「ピースキッチン」、ミラノ万博に合わせて始動

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5月1日から10月31日の約半年間、イタリア・ミラノで開催されるミラノ国際博覧会まで残り1カ月を切った。和食を中心に、文化、芸術など、日本の魅力を海外に向けて発信するまたとないチャンスに、様々な業界で活発な動きが見られる。

その一つとして、「和食を通じて、平和を作る」をコンセプトに、和食の魅力を世界に発信するプロジェクト「Peace Kitchen(ピースキッチン)」がある。ミラノ国際博覧会を契機に始動する同プロジェクトでは、「和食」=「和する食」、つまり「平和をつくる食(Peace Food)」と解釈し、グルメとしての和食に留まらず、日本の食文化をつくり上げてきた「精神性」も含めて訴求することを目指している。

基本方針は次の5つ。
P:Partnership(みんなで一緒に作り、学び、食べる台所)
E:Equality(世代も、国境も、文化も、超えて、仲良く和食を楽しむ台所)
A:Awareness(季節ごとの旬、地産池消、伝統食材、フュージョンレシピなど、“気づき”に溢れる場所)
C:Community Experience(「いただきます」「おかわり」「ごちそうさま」他、多様な“和食体験”を共有する)
E:Excitement(毎日イベントが開かれる変わった台所。今日は何?明日は誰?一生忘れられない和食の思い出を提供する)

具体的には、5月9日から約半年間、ミラノ市中心部にあるコミュニティレストラン「Un Posto aMilano」を貸し切り、「Experience」「Peace Food Stories」「Interactive Dining」「Peace Recipe」の4つのテーマに基づいてイベントを開催する。

「Experience」は、共同調理や集団での食事を通じて、和食の原点にある精神性を体感してもらうもので、日本酒Bar・おにぎりBar・餅つき・盆踊りなどのプログラムを予定している。「Peace Food Stories」は、醤油や味噌など和食の基礎的な知識を身に付けられる講座。プロの料理人や料理研究家を講師に迎え、正しい和食の調理法を学ぶ。「Interactive Dining」は、食によって生まれた「和」をテクノロジーの力で可視化するプログラム。ライゾマティクスと協働で、テーブルを囲む人々の声や振動を感知し、食卓が盛り上がるほどに光る「Peace Kitchen Table」「インタラクティブ提灯」を開発し、イベント会場を彩る。「Peace Recipe」は、ミシュラン一ツ星シェフ・松嶋啓介氏の協力のもと、世界中のシェフたちが「仲直りしたくなるレシピ」といった「和」を生むレシピを考案。レシピをもとにつくられた料理はイベントで実際に提供され、売上は貧困地域へ寄付される。

ライゾマティクスによる監修で開発中の「インタラクティブ提灯」。

また5月29日には、ミラノ国際博覧会日本館でのイベント「Peace Kitchen Day」を実施。「世界を変えるPeace Foodデザイン展」として、日本各地で取り組まれている食の仕組みを変える活動を、展示・映像・パネルディスカッションなどを通じて紹介する予定としている。

プロジェクトの推進、イベントの運営を手掛けるのは、国際支援のNPO「TABLE FOR TWO International」、飲食業などのプロデュース業を手掛ける「umari」、そしてクリエイティブブティック「GLIDER」。協賛パートナーとして三井物産、後援団体として海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)、農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)が名を連ねている。

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またピースキッチンは、スローフード運動発祥の地・イタリアのブラに本拠地を置く国際NPO「スローフード協会」と、アフリカへの協働支援活動を行う契約を締結。ミラノでの活動を皮切りに、8月にはケニア、11月にはルワンダと、アフリカの貧困地域で同様のプロジェクトを実施する。今後は、イタリアやアフリカ以外の地域にも活動範囲を広げ、将来的には日本でのイベント開催も目指す。