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脳波計測の現場とマーケティング活用に必要な三つの指標

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2015年4月6日、ニールセン ニューロラボ(港区)において、Advertimes特別企画「ニューロマーケティングの現場」が実施された。当日は、今回の企画にモニターとして協力いただいた4社(コーセー、ソフトバンクモバイル、第一三共ヘルスケア、本田技研工業)の広告宣伝担当者が参加し、ラボの見学や事前に「ニールセン ニューロ」によって計測した各社のテレビCMの分析結果の報告などが行われた。
今回は、ラボにおける脳活動計測シーンの見学と、ニールセンニューロに関するレクチャー内容をレポートする。

脳波と視線の動きをラボの最適な環境で測定

ニューロマーケティングとは、脳の活動から無意識の反応を測定し、マーケティングに活かそうとする試みだ。ニールセンは、脳波測定とアイトラッキング(視線計測)を組み合わせたニューロマーケティング調査「ニールセン ニューロ」を開発し、世界35カ国以上でサービスを展開、日本においては2008年からサービスを開始している。 

当日は、コーセー、ソフトバンクモバイル、第一三共ヘルスケア、本田技研工業の広告宣伝担当者が、ニールセン ニューロ高輪ラボを訪問。脳波とアイトラッキングの計測シーンの見学、同社でニューロマーケティング分析に携わる脳科学者、辻本氏(京都大学准教授)からのニールセン ニューロの計測でどのようなことが明らかになるのかのレクチャーが行われた。

その後、事前に各社から預かっていたテレビCMをニールセン ニューロで計測・分析した結果のレポーティングが行われ、最後に参加者による意見交換が行われた。

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被験者は計測のためのキャップを装着。32本のセンサーが取り付けられる。

参加者たちはまず、ラボ内に設置された計測ルームにおいて、どのように脳波とアイトラッキングの計測がなされているかのデモンストレーションを見学した。

被験者は特製キャップを頭に装着。キャップに脳波を測定するためのセンサーを32本接続し、計測に必要な脳の部位をカバーするという。1本のセンサーで脳波の動きを毎秒500回計測。それが32本あるので、1秒間で1万6000回計測している。

さらに、目の周囲には目の動きを計測するセンサーを左右1本ずつ取り付ける。これは、目を動かしたりまばたきしたりしたときに生じる電気的な変化を、本来計測すべき脳波とは関係ない「ノイズ」として認識して除去するためのもの。さらに、鼻の頭にも脳波の基準となる電気信号を計測するためのセンサーを取り付ける。

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遮音性、温度など計測ルームの環境は、全世界のニールセンのラボで共通となっている(左)。隣接するモニタールームで、脳波の動きを把握。参加者はメモを取りながら、説明を聞いていた(右)。

計測ルームは遮音構造で、外部からの音は入らないようになっており、室内も一定の温度に保たれている。

被験者は部屋の中央に着席し、目の前のディスプレイに流れる映像を見る。映像を見ることで生じる被験者の脳波は、隣接するモニタールームに送られコンピューターに記録されていく。遮音性や温度といった計測ルーム環境条件・計測方法は、世界中のラボで統一されている。

計測は、アイトラッキングを行うための視線の調整から始まる。セット終了後、今回のデモンストレーションでは、4社のテレビCMをランダムに放映。この時、被験者には事前にどのようなものがディスプレイに表示されるのか、何のための調査なのか、といった事前情報は一切通知されていない。

なるべく「無」の状態で映像に触れてもらうことで、バイアスがかからない無意識の反応を計測することができる。

今回は、テレビCMの計測だったが、それ以外にもたくさんのキーワードを掲出して、どの言葉に対する反応が良いのかなどを見る、商品コンセプト開発も行える。

見学者からは「計測ルームは実験室のようであり、消費者の普段の生活環境とは違なる。ずっとテレビCMを見てもらえるという状況もなかなかない。こうした特殊な環境で計測したことは、一般化しにくいのではないか」という内容の質問が出た。

これに対して辻本氏は「自然な生活環境を優先すればするほど、さまざまなノイズが入り込み、何の刺激に対して脳が反応しているのか分かりにくくなる。脳波の計測においては、条件をコントロールしたほうが、何が効果的だったのか、より正確な計測結果になる。また、世界中どのラボも同じ環境・同じ手順で計測されているからこそ、これまでのデータとの比較が可能で、どの波形が見られたら効果的といえるのかといった分析も可能となる」と回答した。

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ニールセン
www.nielsen.com