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[京都吉祥庵×FRACTAのアイデア会議]和菓子/洋菓子の垣根を捨てた

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第3号(2015年5月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

注目企業の未来を形作る構想を言葉やビジュアルで表現し、実現に向けて力を尽くす。そんなクリエイターとパートナーシップを結んで大きな変革に挑戦し、着実に成功を積み重ねている経営者がいます。「伸びている企業の経営者のそばには、優れたクリエイターがいる」——経営者×クリエイターの二人三脚で他にない価値を生み出そうとしている事例を紹介します

左)北川 聡(きたがわ・さとし)
京都吉祥庵 代表取締役社長
京都出身。日本大学卒業後、不動産投資会社を経て、桂華堂に入社、その後独立し2006年京都吉祥庵創業。2014年3月和洋菓子店「吉祥菓寮」を祇園にオープン。京都フードマイスター。


右)河野 貴伸(こうの・たかのぶ)
FRACTA 代表取締役
ブランディングのあらゆるサービス・テクノロジーを提供するFRACTAを設立。EC-CUBEエバンジェリスト。

自分のイメージするビジネスを会社の成長とともに、表現する。

—お二人が出会ったきっかけは?

北川:京都吉祥庵は、江戸時代から続いて私で16代目ですが、現在は麦の穂ホールディングスの一員になっています。ホールディングスに入った頃に、取締役のひとりが河野さんと面識があって紹介してもらったのがきっかけです。

当時、長く続いていることは一つの価値とは思いつつ、スタイルが時代に合わなくなっていくという危機感も抱いていました。ブランディング活動に変化を起こす必要性を感じていたときに、デザインのことやウェブマーケティングのことを気軽に相談できる人を探していて出会ったのが河野さんでした。

河野:最初は仕事を前提にしたわけではなく、会って、お話するという感じでしたよね。北川さんは、伝統的なものを引き継ぎながらも起業家的な感覚も持っている方で、その取捨選択を慎重に進めている印象を持ったので、私たちとしてはウェブを中心にお手伝いできることがあるかなと思っていて、最初に仕事として関わったのは、ECサイトでした。

「和菓子屋」をやめたかった

北川:当時は大手コンビニチェーンなどのカタログ通販向けの商品提供が事業の中核になっていました。しかし、これからは消費者の意見をダイレクトに取り入れていかなければいけないと考え、ECサイトを始めました。ですが、カートの仕組みひとつとってもわからないことが多く…河野さんに相談していく中で、自然と仕事の話になっていきました。

河野:まずは吉祥庵さんを知ろうということで、工場見学をさせてもらったりしましたが、事業が致命的にうまくいっていないわけではない。北川さんのなかにある「このままじゃダメだよね」という感覚が課題の起点だと感じました。

北川:「和菓子屋」をやめたかったんです。これまでの歴史を基盤にしつつも、「和菓子」、「洋菓子」という垣根を自分たちが捨てようと。この自分のイメージするビジネスを会社の成長とともに、どう表現していけばいいのか、私ひとりではわからない部分もあったので、そういう話はよくしていましたね。

−−北川社長にとって、河野さんはどんな存在ですか。

北川:パソコンを買い替えてウィンドウズからMacにしたのですが、そのときに「どんなアプリ使ってるの?」って聞きたくなる(笑)。そういうレベルの相談もできる友達のようでもあり、師匠のような存在でもありますね。今回「吉祥菓寮」のブランディングをお任せしたのですが、題材にしている「きな粉」をどう食べると新しいか、どう使えば面白いかといったことまで相談に乗ってもらいました。これは、私たちだけではなく、うちの現場とFRACTAの皆さんも相談し、反応を見て、戦略に役立てていくという関係につながっています。

河野:私たちが一番重視しているのは、ブランドを理解することです。うちの松岡はそこに非常に熱心で、吉祥庵というより北川さんという存在を理解するためにソーシャルメディアまでトレースしています。経営者が前に出すぎると、その人が交代すると終わってしまうこともあるので必ずしも良いことではありません。ただ、立ち上げのときのブランドというのは経営者自身の人生だと思っています。だから北川さんのことを知るのはとても大事で、うちの社員はこの仕事が始まるとき、みんな「北川さんと現場の担当者の方に会いたい」と言いました。通常だと資料を集めて社内で説明して進めるのだと思いますが、私たちはまず会う、会って一緒にご飯を食べようと。そういうところをすごく重視しています。今回の場合は、ひたすら商品を食べる。社内的には食べたい言い訳みたいなものですけど(笑)。

京都吉祥庵は、そのルーツを江戸時代の菓子茶房にもつ京都に根付く菓子屋だが、時代に合わせた新たな商品開発を続けている。

—北川社長は他の経営者とは異なるキャラクターを持っているのでしょうか

河野:経営者って極端に言うと、引き継いだものを「守る」ことに長けた人と、新たに何かを「生み出す」ことに長けた人がいて…

「続きは100万社第3号本誌をご覧ください」


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