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第2回BOVA グランプリ受賞者 インタビュー「映像は理屈じゃない。パッと見て面白いかどうか」

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6月に発表されたBOVA(ブレーンオンラインビデオアワード)第2回の一般公募部門グランプリ「tilt」の制作者にインタビュー。見事応募作の頂点を勝ち取った動画は、どのように生まれたのか?

「tilt」
(企画・演出:荒川大、撮影:三木章太郎、出演:大森創)

見るからに運動しなさそうなサラリーマンが街中を歩いていると、謎の機械音とともに世界が傾いて(tilt)いく。不条理に降りかかる困難を乗り越える中で、主人公は身体を動かす楽しみを発見していく。審査員からは「普段の風景を違った観点から見直す映像作品。普段走っていない人に強制的にモチベーションを与えるアイデアになっている」などと評価された。

「走っているシーン」を異質なものに

突然傾く街に翻弄されながらも、走っていく主人公–動画「tilt(傾き)」のアイデアはどう生まれたのだろうか。「当初はもっと詳細なSF的なストーリーがついていたんですが、3分に収まらないし、そもそもそんな凝った映像は僕たちには撮れないね、と。なのでSF部分の設定はばっさりカットしました」と受賞チームの荒川大さんは当初を振り返る。

残ったのは、街の中を主人公が走るシーン。ここで荒川さんたちは、どの応募作にも入っているであろう「走るシーン」を、「他の応募作品とは明らかに異質なものにしようと考えた」という。「映画『インセプション』のように世界が傾くアイデアはどうだろうか?と。ネタがシンプルでわかりやすいですし、続きが気になるように展開を広げやすいだろうと考えました」という。

撮影は、企画を思いついた次の日早々に行った。三脚のカメラを支える雲台の部分のネジを1カ所ゆるめ、据え付けた一眼レフをタイミングに合わせて傾ける。それで映像の中の世界が傾いた。「スタッフは皆ボランティアですし、超低予算動画です。一番高かったのは、ニューバランスのシューズです(笑)」(荒川さん)。

制作チームの3人は大学の演劇仲間で、荒川さんは電通入社3年目のコピーライター、撮影を担当した三木章太郎さんは現役の大学生。役者の大森創さんも今年社会人になったばかり。役者は「普段は絶対運動しなさそうな人に無理やり走らせたかったので、一番メンバーの中で疲れ顔がうまそうな人」という視点で大森さんに声がかかったという。

編集も自分たちで行った。「この映像を作るのに、初めてアフターエフェクトを触りました。そのくらい素人でしたが、その手作り感が、映像の親しみやすさにつながったのかもしれません」(荒川さん)。

次ページ 「映像は理屈じゃないと気づいた」へ続く