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コラム

アンバサダー視点のススメ

日本人はマーケティング4.0の議論に入る前に、まず「マーケティング」の意味を腹落ちすることが必須ではないか

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【前回コラム】「コカ・コーラとスターバックスに学ぶ、バナー広告では得られない「メディア運営の可能性」」はこちら

「マーケティング」という単語の本当の意味

世界的なマーケティングの権威が集まる「ワールド・マーケティング・サミット」が、今年の10月に日本で開催されるのをご存じでしょうか?

ワールド・マーケティング・サミットは、現代マーケティングの父ともいわれるフィリップ・コトラー教授が中心になってアジアでのマーケティング普及を目的に開始したイベントだそうですが、3回目となる昨年初めて日本で開催されたものです。

実は何を隠そう、私自身も昨年は開催終了後にアドタイの江端さんのコラムで知って、参加できなかったことを非常に後悔していた側の人間なのですが、今回、光栄にもワールドマーケティングサミットジャパンのアンバサダーとして参加させてもらえることになりましたので、この場を借りて良い機会なので日本における「マーケティング」について、個人的にずっと感じていたことをこの際ぶちまけてしまいたいと思います。

昨年のワールド・マーケティング・サミットの概要は江端さんのコラムを読んでいただければと思いますが、個人的に非常に印象に残ったのは、日本はマーケティング後進国ではないかという問題提起でした。

コトラー教授はマーケティングをマズローの欲求段階説を元に、「マーケティング1.0」から「マーケティング4.0」まで分類され、日本は製品特性や価格が重要な「マーケティング1.0」の時代は輝いていたが、最近のマーケティングではその輝きは失われているという問題提起をされたようです。

実際に、家電メーカーを中心に海外展開で苦労している企業の弱点としてマーケティング力不足が指摘されるのはよく聞きます。

一方で、江端さんのコラムにもあるように、日本発の取り組みとして大成功しているネスレのネスカフェアンバサダープログラムのように、世界でもいち早く消費者の自己実現欲求を充足することに注力する「マーケティング4.0」的なアプローチに成功している国でもあるというのが面白いところです。

もちろん、後者についてはネスレさんが凄いという話ではあるのですが、それについては別の機会に書かせていただくとして。

日本における「マーケティング」にこの10年ぐらい携わってきて、個人的に一番問題意識に感じているのは、実は私も含めて多くの日本のマーケティング関係者が「マーケティング」という単語を本当の意味では腹落ちして理解できていないのではないか、という点です。

私は自分の社会人生活をマーケティングや広告とは全く縁遠い通信回線の営業担当というキャリアからスタートしました。マーケティングに初めて出会ったのはグロービスのビジネススクールの授業。その後、すっかりマーケティングの魅力にとりつかれ、冒頭のコトラー氏が書かれたマーケティングマネジメントをはじめ、多数のマーケティングを読み漁った人間です。

そんなマーケティング素人の私にとってのマーケティングとはドラッカー氏の「マーケティングの役割は、セリングを不要にすることだ」という発言が一番印象強いものでした。ただ、実際に日本企業の方と「マーケティング」について議論していると、マーケティング=広告宣伝、であったり、マーケティング=リサーチであったりと、マーケティング=売り込みであったりと、人によってマーケティングの定義がかなり狭い印象があります。

特に感じることが多いのが、製品開発と広告宣伝の壁です。日本は元々モノ作りが強かったことの反動なのかもしれませんが、マーケティング部の活動の議論をする際に広告宣伝の話だけがどうしても中心になっているケースは、まだまだ多いように感じます。

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