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デコレーションケーキ×EC=カスタマイズ志向に応えるスイーツビジネス—BAKE「PICTCAKE」

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『100万社のマーケティング』第4号の巻頭レポート「社内の資産×デジタルで新たな価値をつくる。」では、商品や技術、店舗、人的サービス、キャラクターといった、企業の既存資産にデジタルの手法・考え方を組み合わせることで、新しい価値づくりに成功している国内外の企業の事例を紹介しています。

長沼 真太郎(ながぬま・しんたろう)
BAKE 代表取締役社長

札幌の洋菓子店「きのとや」の長男として生まれる。大学卒業後は商社に入社し食品事業部に従事。その後、単身上海で起業を目指すも失敗し、きのとやへ入社。BAKE CHEESETARTの原点となる店舗を企画し大成功を得て、2013 年にBAKEを起業。

ITの力で、洋菓子業界に新風
ユーザー目線のお菓子とは?

写真入りのデコレーションケーキ「写真ケーキ」を注文することができる。

東京・自由が丘の駅近く、甘くて香ばしい香りの元をたどると、白い建物の横に人々の行列が見えてくる。人々の目線の先にあるのは、焼きたてのチーズタルト「BAKE CHEESETART」。店内の工房で焼き上げたものを、その場で販売しており、出来立ての味を求めて、近隣住民はもちろん遠方から来店する人も少なくない。

このショップを運営するのが、札幌の老舗洋菓子店「きのとや」の創業家に生まれた長沼真太郎氏が代表を務めるBAKE(ベイク)である。同社は、BAKE CHEESETARTのローンチを皮切りに、「クロッカンシューザクザク」、写真ケーキのECサイト「PICTCAKE(ピクトケーキ)」といったブランドを次々と展開し、急成長を遂げている。

美味しいお菓子を、もっと多くの人に

BAKE起業の背景には、長沼氏の「きのとやのお菓子を、より多くの人に食べてもらいたい」という思いがあった。「きのとやは、1983年の創業以来、地元・札幌に根づいた経営を貫いてきました。“札幌の皆さんのためのお菓子づくりを”という姿勢も含めて、きのとやの魅力だとは思うのですが、こんなにおいしいお菓子をつくっているのに、もったいなく思えてならなかった」と長沼氏は話す。

まわりに、スタートアップ起業を志す友人も多かったことから、長沼氏も起業や、それを志す人の生き生きとした空気感に漠然とした憧れもあった。そんな折に、友人から教えられた急成長中のECサイトを見て、ECの可能性の大きさに驚いたことが、のちにBAKEの起業を決意するきっかけになったという。「『お菓子×EC』で何かできるのではないか、と思いました。きのとやは、創業時から、札幌市内でデコレーションケーキのデリバリーを行っていて、年間15万個のケーキ宅配のノウハウがあります。これにインターネットの力を掛け合わせることで、もっと大きなマーケットで面白いことができるんじゃないか、と考えたのです」。そうして、これまでの菓子業界にはなかった新しい取り組みを自由かつスピーディーに進められる環境を求め、起業という選択肢をとることを決めた。

起業後、初めて本格的に事業化したサービスが、バースデーケーキのECサイト「clickoncake(クリックオンケーキ)」。きのとやが製造する十数種類のスクエアケーキの中から好きなものを選び、全国一律料金で注文できるサービスだ。これを運営する中で、顧客の『ケーキを自分でデザインしたい』『イチゴをバナナに変えたい』といった声から、それぞれの顧客の好みに合わせたデコレーションケーキの需要があることに気づいた長沼氏。

誕生日祝いなどで人気の写真ケーキ。「大切な人に喜んでもらいたい」ユーザーの思いに応えるため、きめ細かいカスタマーサポートに努めている。

これが、新たなビジネスアイデアのヒントになった。「そんな折、ケーキに写真を入れることができる『写真ケーキ』が人気を集めている、という話を聞いたのです。気になって、いくつかのサービスを調べてみると、注文からお届けまでのフローがシステム化されておらず、納品までかなりの日数を要したり、細かい要望を逐次伝える手段がなかったりと、ユーザビリティに問題がある様子。システム化して効率を良くすれば、もっと価値のあるサービスになるはずだと思いました」。

とは言え、自分には、Webサービスをつくるようなスキルはない。そこで、一人のエンジニアに相談したところ、システムは1週間で構築できるとの回答が。そうして生まれたのが「PICTCAKE」だ。思い描いていたアイデアが、驚くべきスピードで具体的な形になった体験に触れ、長沼氏は、このエンジニアとの出会いがBAKEのビジネスを加速させる鍵になったと振り返る。

「PICTCAKE」の立ち上げにあたっては、サイトビジュアルにこだわった。「競合はリアル店舗だと思っていたので、実際にお菓子を見るよりも美味しそうな写真を見せられたら勝てるはずと思いました」(長沼氏)。

「続きは100万社第4号本誌をご覧ください」


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