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コラム

戦略PR視点で、大学・地方・アートを考える

3限目「先生!大学の広報って何をするんですか?」「オープンキャンパスの売りのコンテンツは何ですか?」

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【前回のコラム】2限目「先生!PRの文章はどういう風に書けばいいですか?」「前向きすぎるPRはいやらしいですか?」はこちら

「片岡英彦の芸術大卒は武器になる」本日のアジェンダ

  • 先生!大学の広報って何をするんですか?
  • USPってなんですか?
  • 先生!オープンキャンパスの売りになるコンテンツは何ですか?
  • 大切なのは「誰が」情報を発信するのか??
  • 結局…あなた自身がコンテンツ!

東北芸術工科大学(芸工大)で教鞭を執る機会をいただいた。企画構想学科で、自分がこれまで経験してきた戦略PRやメディアに関する講義を行っている。また大学自体の広報にも携わっている。

日ごろ、全学年が揃うことは珍しい。企画構想学科の学生みんなで記念撮影を行った。

ドラマ、バラエティーの番宣、アップル製品やマクドナルドのコミュニケーション戦略、また最近では、NGOのファンドレイジング(資金集め)など、幅広いPR関連の仕事をさせてもらってきたが、大学を舞台にした広報活動は初めてで興味深い。

先生!大学の広報って何をするんですか?

ある時、学生からこんな「ど真ん中」の質問を受けた。

大学の広報には大きく2つある。

ひとつは「入試(入学)」を促進する広報。もうひとつは「就活(就職)」を促進する広報。いわゆる「入口」と「出口」だ。

学生の総数は2000人ほど。比較的小規模だ。学生1人ひとりへの個別相談・個別指導などは相当手厚く行える。これは強みである。一方で、何万人もの学生が通うようなマンモス大学と比べると広報的な露出の「ハデさ」はどうしても引けをとる。

あまり大学や講義とは関係なさそうな有名人を呼んで、ど派手なイベントを行い、マスメディアでの露出を仕掛けているマンモス大学を目にすると、ずいぶんな費用を広報活動に使っているのだろうな〜と羨ましくも思うこともある。これは決して嫌味ではない。

少子化や国際間競争にさらされる日本の大学の置かれている環境は厳しい。少しでも大学名をマスメディアなどに露出させ、受験生の想起率を向上させたい気持ちは理解できる。何よりも入試時に定員割れさせないこと。これは他の大学との競争が激しい首都圏の大学が、大学の教育水準を保ち続ける上でも重要な広報的な課題である。同じ状況であれば、私も同じ手法でのメディア露出獲得を考えるかもしれない。

芸工大(東北芸術大学)の広報戦略はこうしたマンモス大学とは自ずと異なってくる。

USPってなんですか?

ある日、2年生の企画構想論の授業中にUSP(Unique Selling Proposition)を取り上げた。USPとは「独自性がある自社の強みのこと」とだとされている。広報(マーケティング)戦略を立案する上では最初に整理しなくてはならない。

芸工大のUSPは何だろうか?

芸工大のUSP

・「東北」という地域性
・社会に出てから武器(強み)になる「即戦力」を学ぶ
・魅力ある教職員による「少人数」での授業

私自身も混乱することがある。自戒の念も含めて書くが、USPはメッセージの「打ち出し方」のことだ。同時に強い「約束」でもある。自分たちの行動指針ともいえる。単なる自社や自社製品の「独自性」「競合差別化」などを表すキャッチコピーではない。

USPは顧客への「約束」である以上は、反対に「約束しないもの」も明確になる。このため「割り切り」が重要となる。USPを強く打ち出すためにはそれなりの覚悟が必要だ。

このUSPがしっかり意識されて初めて、次に戦術としてどういった手法が考えられるかという勝負となる。USPをターゲットに向けて可視化して伝えていけばよい。例えば、大学ならではの行事として「オープンキャンパス」がある。

次ページ 「先生!オープンキャンパスの売りになるコンテンツは何ですか?」へ続く