サービスが必要となるシチュエーションを突き詰める
─ダイレクトメールを活用して一定の成果を挙げられているとのことですが、ネットへの置き換えは?
確かに、以前に比べ、紙メディアを用いることへの抵抗は、実際問題として各社にはあるのではないかと思います。これまで以上に、施策としての意義、成果を残すことが求められているのが現状でしょう。
これとちょうど背中合わせにあるのがEメールマーケティングです。不可欠な施策ではありますが、メールならすべて安価に解決できる─そんな思い込みに陥ってしまうこともあるように感じます。現場としては疑問符の浮かぶところです。
例えば、当社には2800万人の会員基盤があります。そのうち1150万人がネット会員ですから、差分の1650万人は非ネット会員になります。この層にはネット以外のコミュニケーションが欠かせません。
では、ネット会員ならネットで全部解決できるか、というとそうでもないのです。ここは画一的な答えを出しづらいところで、常に顧客に適した手段は何かを考え続けることが必要なのだと思います。うまく選び出すことができ、共感を得られれば、売上を獲得できるだけでなく、「ちょうどいいタイミングで情報をくれた」と企業イメージも上がります。
逆に間違うと、顧客は簡単に離れてしまう。特にクレジットカードは商品の差が枝葉末節に至ってきているため、コミュニケーションで顧客の心をとらえられるかどうかが勝負の分かれ目になります。勝ち残っていくために、常に試されているのだ、という感覚があります。
─クレディセゾンのコミュニケーション施策で最も重要視していることは。
顧客にどう受けとめていただくか、という意味で費用対効果を上げるなら、結局はパーソナライズに落ち着くと思います。
重要なのはセグメントの深度です。年齢や性別だけでなく、クレジットカードの利用スタイルや履歴なり、打ち出す商材も細分化していますから、かけ算を繰り返すとそのパターンは膨大になります。それなりに労力がかかるわけですが、個々の顧客へ価値ある情報を届けようと、考えて動けば動くほど、ダイレクトメールの効果は上がるというのが肌感覚です。
一律でより多く発送したほうがスケールメリットを出せるのですが、それは刹那的なコスト削減策でしかないと思います。発送コストはかかっても、顧客がメッセージをどう受け止めるかを考えてダイレクトメールのパターンを分けたほうが、結局のところ獲得コスト効率が上がるのではないでしょうか。
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