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Resilience——生き残るのは、本質を徹底的に追求したビジネスのみ

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「宣伝会議」12月号(11月1日発売)に、ニューヨーク視察研修ツアーのレポートを掲載します。視察から見えてきた米国広告ビジネスの今、そして日本の広告界がめざすべき方向性を5つのキーワードで捉えます。こちらも、ぜひご覧ください。

(執筆者)

  • 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 上席研究員 TBWA \HAKUHODOタッチポイントエバンジェリスト 皆川治子(みながわ・はるこ)

 


Advertising Week(アドバタイジングウィーク)の報告を、他のイベントの言葉で始めるのもなんだが、「Resilience – resistance and refuge-」は、 今年の「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」※1で聞き、印象に残った言葉だ。

変わり続ける世の中で、「Sustainability(サステナビリティ:持続可能性)」はロマンチックな言葉だ。5年後、10年後も変わらないものなんて、あるのだろうか。そこで問われるのが「Resilience」。回復力と直訳されるが、「resistance and refuge(抵抗と保護)」と一緒になると、本質を追求する意味合いが感じられる。

例えば、シリアからの難民。シリアを逃れ難民キャンプに入ると、多くはそこで10年以上暮らすことになるという。国際社会から提供される均質化された物資があり、命と生活は保障されるが、人としてのアイデンティティはどうなるのだろう。部族ごとにあった生活習慣が、あっという間に失われていく。人が尊厳を持って生きていくために、最低限守らなくてはならないこととは何なのだろうか。逆境において形を変えながら回復するときに、変わってはならない本質とは何なのだろうか。

※1「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」
オーストリアのリンツで毎年開催される、メディアアートの祭典。世界的なクリエイティブ機関「アルスエレクトロニカ」によって運営されている。同機関と博報堂は昨年5月に提携し、イノベーション創出支援サービス「Future Catalysts」をスタートした。
参考はこちら

テクノロジーは日々進歩し、さまざまな自動化・最適化が実現されるようになった。ロボットやテクノロジーが担うべきことは何で、人間が担うべきは何なのか。テクノロジーもコモディティ化され、ただ利便性を追求するだけでは、ビジネスにならない時期に来ている。今年のAdvertising Weekでは、ビジネスのコアをあらためて追求し、そこを変えることなく環境に適応する大変化を起こそうという動きが、そこかしこに見られた。

本稿では、その動きを象徴する2つのセッションについて、内容をレポートする。

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