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いま企業に必要なのは、マーケターではなくイノベーター

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第5号(2015年11月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

 

小さな組織でマーケティングに取り組むからこそ直面する課題がある。一方で、小さな組織にしかできない挑戦もある。いま成長を遂げる企業でマーケティングに取り組む担当者に、日々の仕事の実態と、描くビジョンを聞きました。

それぞれの事業内容と、ご自身の役割についてご紹介ください。

伊佐:freeeは、「スモールビジネスに携わるすべての人が、 創造的な活動にフォーカスできるよう」というミッションを掲げ、さまざまなバックオフィス業務を自動化・最適化するクラウドサービスを提供しています。

左)稲垣 聡(ヤッホーブルーイング Sales & Promotion 軍団/ブランドチーム)
右)伊佐裕也(freee マーケティング本部長)

会計ソフト「クラウド会計ソフトfreee」を中心に、起業に必要なあらゆる書類を簡単に作成できる「会社設立freee」、「クラウド給与計算ソフトfreee」、従業員管理の「マイナンバー管理freee」などのソリューションを通じ、スモールビジネスの各成長段階をサポートしています。その中で、我々マーケティングチームは、ユーザーにfreeeの世界観を理解し、興味を持ち、実際に使っていただき、さらには有料ユーザーになって、継続的に使っていただくために、あらゆる施策を考え実行しています。

チームメンバーは約10人。会社の規模からすると多いかもしれませんが、マーケティング経験者は僕一人です。メンバーには、「こういう課題が見つかったが、どうやって解決しようか?」となったときに「わかりました、何とかします!」と熱意を持って取り組める人、成長する意欲を持って成長のために必要なことを実行できる“タケノコ人材”が揃っています。新しい挑戦を繰り返し、成長していこうとする当社のようなスタートアップ企業には、そういう気概を持ち、PDCAを回しながら常に改善していこうとする姿勢で物事に臨める人材が必要です。

稲垣:ヤッホーブルーイングは「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションとする、長野県軽井沢のクラフトビールメーカーです。画一的な味しかなかった国内ビール市場にバラエティを提供し、ビールファンにささやかな幸せを提供したい。日本のビール市場を変えることで、最終的には世界平和を目指そう、というのが当社のミッションです。

伊佐:大きいですね!(笑)

稲垣:そうですね。いろいろな味があれば、飲む人一人ひとりにとって、ビールはもっと大切な存在になるはずです。ビールを起点に世界が広がり、語れる話題が増えていく。人と人とがつながり、絆が生まれる。その輪を広げていくことで、世界を平和にすることもできるのではないかと。実際、仕事で海外のブルワリーを訪れると、ビール好き同士ですぐに打ち解けることができますし、当社が主催するファンミーティングでも、見ず知らずの参加者同士がすぐに仲良くなるのを何度も見てきました。当社は、1997年に発売したメインブランドの「よなよなエール」を軸に、日本にクラフトビールという新しいカテゴリーを形成することを目指しています。

左から「よなよなエール」「インドの青鬼」「水曜日のネコ」。大手にはないネーミングやパッケージデザイン、味づくりで差別化を図る。

「こんな面白いビールがあるのだ」ということを人々に伝え、飲んでもらい、大手の寡占状態だった日本のビール業界に革命を起こしたいと考えています。大手と同じことをやっていては勝ち目がありませんから、ニッチャーならではの取り組みが重要です。味はもちろん、パッケージやネーミングも、大手には真似できない個性的な製品をつくること。

「誰でもいいな、おいしいなと思うだろう」という範囲を超える勇気が必要です。それに加えて、我々は自社のことを「ビール製造会社」ではなく「ビール製造サービス業」と定義しており、実際に商品を「体験してもらう」ところまで設計して、提供することを重視しています。軽井沢にある「よなよなエール醸造所」の見学会や、公式ビアバル「YONA YONA BEER WORKS」といった飲食店で開催するファンイベント「宴(うたげ)」といったブランド体験の場をつくり、社員がお客さまと直接対面してブランドの世界観を伝える“顔の見える”コミュニケーションを徹底しています。「よなよなピースプロジェクト」と名付けたこうした取り組みは、参加者が年々増えており、醸造所見学には今年3000人、「宴」には昨年のべ1000人が参加しました。来年も、さらに規模を拡大して開催したいと考えています。

一方で、楽天、Amazon、自社サイトにわたる通販チャネルでは高ロイヤリティユーザー向けのプログラムの運用に力を入れたり、既存流通においてはローソン限定発売のブランド「僕ビール、君ビール。」を共同開発したりと、自社のブランド“らしさ”をいろいろなチャネルから発信しています。マーケティング活動は、基本的にチャネル別のチームが担っており、各ブランドに合わせたコミュニケーションの方針策定や、チャネル横断のブランドに横串を刺したマネジメントは、主に社長の井手直行と私を中心に担っています。

次ページ 「それぞれの会社において、「マーケティング」はどのように位置付けられていますか。」へ続く


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