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コラム

長谷川、カヤックやめるってよ。

糸井重里さんに聞いた“広告の世界から抜けだす方法”

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「面白くないなぁ」というダメ出しからスタートしたこのインタビュー。業界の内側で競い合い視野が狭くなってしまう広告クリエイターにありがちな状況を、どうしたら抜け出せるのか? 糸井重里さんが、たとえ話を交えながらも率直に教えてくれました。

今回のゲストについて


糸井重里(いとい・しげさと)
1948年群馬県生まれ。「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。1971年にコピーライターとしてデビュー。「不思議、大好き。」「おいしい生活。」などの広告で一躍有名に。また、作詞やエッセイ執筆、ゲーム制作など、幅広いジャンルでも活躍。1998年6月に毎日更新のWebサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げてからは、同サイトでの活動に全力を傾けている。

長谷川さんのプレゼンは面白くない

長谷川:最初に聞きたいことがあります。きっとたくさん依頼があるなかで、どうして僕のインタビューを引き受けてくださったのでしょうか?

糸井:あまり顔を出さなくてもいいや、という気はしているんですけれどね。若い人で面白そうな人たちもいますが、よっぽど「わー、見たい!」と思わないと会うことはないし。でも、たまには引き受けることもあるんです。ぼくの周りの人は「なんで引き受けたんだろう?」と思ったかもしれないけれど。

長谷川さんが所属しているカヤックさんには、以前うちで勉強会を開いていただいたりしてお世話になっているので、恩義があるというのがひとつです。そして、長谷川さんがカヤックを辞めると公言して会社とやりとりをしている様子も、過去の記事などを通して見ていましたし。

実は、「辞めるけどもう少しいるんです」っていうパターンは、ぼくも昔やったことがあるんです。うちにいたアシスタントの子が、デザイン会社をつくるということで辞めることになったんですよ。辞めるまでに時間があったので、一緒に動き回ってそれぞれの仕事先で「こいつ、これから辞めるんですよ」と紹介したんです。そうすれば、独立してから何か仕事につながるかもしれないでしょう。

長谷川さんも、きっと会社とご本人の関係がうまくいっていながら辞めるという例なのだろうなって。

それは自分の会社にとっても、非常に参考になる。「お前ダメだな」とか「こんな会社出てやる!」という辞め方もあるけれど、そうではなくお互いに「いいよね」という辞め方もあると思うので。

長谷川:そうなんですよね。この連載を含め、個人活動に近いことを退職前に自由にやらせてくれているカヤックには、とても感謝しています。

糸井:長谷川さんが周囲の人に適度にいじられているのも感じていて、いじられキャラなんだろうなと思いました。一度お会いしてみたいと思ったから、今回依頼をいただいたときに「いいよ」と返事をしたんです。

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長谷川:ありがとうございます。

糸井:でも、このインタビューが始まる前に長谷川さんがしてくれた自己紹介のプレゼン(下記参照)は、面白くないなぁ。すみませんね、つい同業者に厳しくなってしまうのですが。

矢に例えると、肘をしっかり後ろまで引かずに、ちょっと引いて放っている感じがします。今日の場合は、僕が見ると分かっているのだから、もっと怖がらなくてはダメですよね。「笑われてもいいや」と思っているかもしれないけれど、それは奥の手だし、スベり芸にもなっていないじゃないですか。

長谷川:……はい。

糸井:ごめんなさいね。ふだん、社員にはこんなダメ出しはしないんですよ。でも、これから一本立ちする人には「あまり面白くないものを出していると相手から見透かされてしまうよ」ということを教えたほうが親切かなと思って。


長谷川哲士が糸井さんにした自己紹介のスライド、コチラでご覧になれます。

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