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ブランド戦略としての「物流」—“成功企業”は物流を重視する

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商品力と製品力

「製品力」は、いわば製品としてのスペックである。そこにブランドや包装や品質などが加わっていくと、「商品力」になる。

男性用下着 ボクサーブリーフは、スーパーの「イトーヨーカドー」に置かれたときと、コンビニの「セブン-イレブン」に置かれたときと、女性下着専門店のピーチジョンに置かれたときでは、商品力が異なる。イトーヨーカドーでは、グンゼが主力に置かれているが、定価では売れない。顧客は急いでいないので、安いときに買おうと思っているからだ。また3枚セットなどがよく売れる。セブン-イレブンでは、セブンプレミアムだけが置かれていて、言い値の530円(税抜)で売られている。コンビニで買うときは、急な出張などどうしても必要なときに買うからだ。そしてピーチジョンでは、バレンタインデー前にプレゼント用に陳列されていて、低価格では売れない。コンビニに置かれているものよりも数倍高いはずだ。このように男性用ボクサーブリーフという製品も、置かれている場所によって、商品力が変わるのだ。

物流でも、商品力が変わる。例えば、お酒。酒ディスカウント店、コンビニ、酒宅配のカクヤスでは、同じアサヒスーパードライ350ml缶でも商品力が違う。酒ディスカウント店は場所が遠くにあり、コンビニはほぼ毎日行き、カクヤスは持ってきてくれるから、商品力が変わり、販売価格も変わるのだ。

企業ブランディングと物流

会社のイメージと、使っている物流のイメージが違うときがある。それを見て、「戦略(ブランディング)が徹底されてないなあ」と感じる。なぜなら、低価格を売りにする会社のダンボールが分厚くてコストが掛かっていると、その分を安くしたら良いのにと思うのだ。逆に、ハイクラス(プレステージ)を売りにしている会社のダンボールがボコボコだと、もっと良いダンボールを使ったら良いのにと思う。

これはダンボールだけの話でない。ハイクラスブランドの店舗に納品するトラックが、ボコボコで汚かったら、幻滅する。カルティエの宝石を大切な人に届けてもらうなら、トラックではなく、黒塗りのハイヤーに乗ったタキシードを着たイケメンのドライバーが理想だ。企業ブランディングは、物流方法も変えてしまう。何でもコストダウンすればいいというものではないのである。

ここまで読んで、あなたはどう感じただろうか?物流に対する考えが変わったのでないだろうか?自社の物流は、コストダウン一辺倒ではなかっただろうか?自社の企業ブランディングに合う物流手法(物流6大機能=輸配送、保管、荷役、包装、流通加工、システム)になっているだろうか?もう一度、見直して欲しい。また、競合他社の物流サービスと比較はしているだろうか?一覧表で、納期や受注締め時間や梱包方法などを比較して欲しい。物流は、ボディーブローのように競合会社を弱体化させ、最終的には倒すこともできる“武器”なのだ。

次ページ 「CASE STUDY 戦略物流活用の実例」へ続く