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テレビの「視聴率調査」は今後どうなる?ビデオリサーチ「VR FORUM 2015」レポート

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ビデオリサーチは2015年12月8日、9日の2日間、東京国際フォーラムにて「VR FORUM 2015 COMMUNICATION DYNAMICS」を開催した。テレビのメディア価値向上にはどのようなことが鍵になるのか。生活者、メディア、テレビ、インターネット、マーケティングの各領域の課題や将来展望について、講演やパネルディスカッションが行われた。

スペシャルディスカッション・day1
「2020へ!テレビメディアの挑戦」

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スマートフォン(以下スマホ)など新たなデバイスの普及や、生活者の多様化、タイムシフトの浸透などでテレビの視聴環境が変化する中、2020年に向けた放送局や広告会社の対応や目指すべき未来像などが議論された。

ビデオリサーチの尾関氏によると、2004年から現在までのHUT(総世帯視聴率)は単身世帯と2世代世帯で低下。個人属性別では13〜19歳のT層(ティーンエイジャー)、20〜34歳のM1層で低下している。また、民放5局のプライムタイム(毎日19:00~23:00の時間帯)の番組の約半数がバラエティになっている点が紹介された。

この現状を受け、博報堂の中谷氏は「2006年以降、20代のテレビ接触時間が急激に下がり、スマホの利用が伸びている。一方で50代は横ばい」と言及(メディア環境研究所調べ)。C Channelの森川氏も「HUTを取るには幅広いターゲットに向けたコンテンツを作らなくてはいけないため、若者にとって面白い番組が少なくなる」、電通の石川氏も「世帯視聴率を基準にすると、制作者もそれに向けて作っていく事になる。マネタイズも考慮の上で、この構造をどう変えていくのかが広告会社の役目だと思う」と指摘した。

このように若者のテレビ離れが叫ばれる中、日本テレビでは2015年9月に20代をターゲットにした24時間ライブストリーミング番組を実施。1日限定で4チャンネルを開設し、番組を視聴したユニークユーザー数は174万人と多くの視聴者を集めた。日本テレビ放送網の廣瀬氏は「18〜34歳男性のアクセスが多く、M1層からの一定の支持が得られた。今回の結果を見ると、テレビ側が制作するコンテンツ次第で視聴層が広げられるのではないかと感じる」と話した。フジテレビジョンの稲木氏も「HUTが取れていない番組でも、T層のPUTは取れているケースもある」と指摘した。

また、近年、タイムシフトに対応したTVerなどのキャッチアップ視聴が広がっており、マネタイズにつなげられるか注目されている。「テレビのコンテンツが、テレビ、PC、スマホなど複数のデバイスで視聴されている。現状マネタイズができているのはテレビのリアルタイム視聴だが、YouTubeなどの動画投稿サイトやキャッチアップ視聴、広告のない有料放送などマネタイズの多様化が進んでおり、マルチスクリーン化が進む今、マネタイズについての議論を進める必要がある」(中谷氏)。

森川氏は、「動画配信のマーケットは拡大すると思うが、テレビ局にとってはタイムシフトを事業化するのが最も確実だと思う。リアルタイムとタイムシフトの組み合わせが定着して広がっていくのが日本らしいのではないかと考える。」と指摘した。

廣瀬氏は、動画配信について「リアルタイムに戻すためにキャッチアップを行っている。分散化が進む中、テレビと動画配信ではコンテンツの作り方も違うので、どちらを主軸にしてやっていくのか考えなければならない。」と述べた。

こうした議論を受けてビデオリサーチの尾関氏は、今後の視聴率について(1)タイムシフトやモバイルといった視聴の分散化に対応、(2)視聴者の多様性に対応、(3)サンプルの拡大、(4)テレビとネットをシングルソースで繋げ、全てのメディアの視聴状況が分かるトータルリーチやトータルオーディエンスにも対応していくと発表した。ビデオリサーチが提示した、これからの視聴率への新たな取り組みが期待される。

次ページ 「ビデオリサーチが描く、これからの視聴率」へ続く