コラム

都市を未来へと動かす「シビックプライド」

フォントで東京のアイデンティティを伝える

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「まちをより良くするために、自分自身がかかわっているんだ!」そんな都市に対する市民の誇り=「シビックプライド」は、市民一人ひとりに行動する力をもたらし、また都市を未来へと動かす推進力ともなります。全国数多くの自治体でもシビックプライドを掲げた取り組みが見られる中で、『シビックプライド2【国内編】—都市と市民のかかわりをデザインする』が発売となりました。ここでは「都市フォントと東京のアイデンティティ」をテーマにしたタイププロジェクト代表取締役社長 鈴木功氏による講演の内容を紹介します。

街のアイデンティティを体現する都市フォント

名古屋城の金鯱をモチーフにした「金シャチフォント」も都市フォントの一つ。横画の起筆は、しゃちほこの形からヒントを得た。

タイプディレクターとして「AXIS Font ファミリー」「TP明朝ファミリー」などのオリジナルフォントを開発しているタイププロジェクトでは、都市フォントの開発を進めている。

都市と文字。一見関係がなさそうに見えるが、文字は、都市デザインを支える基本要素。都市のユニークさを伝える顔ともなる。都市フォントは、文字を活用することで都市のアイデンティティを強化しようという試みだ。

鈴木功社長によれば、都市フォントの特徴は大きく三つ。まずはその地域の歴史や地理、そこに暮らす人々の特色を取り入れた文化的な価値があること。次にその都市のアイデンティティを強化するような社会的価値を持っていること。最後に都市景観になじむフォントを媒体を超えて広く、そして長く使い続けることで生まれる経済的価値だと話した。

こうしたコンセプトのもとで手がけたのが「金シャチフォント」。自身の出身地でもある名古屋の都市フォントとして「金シャチ明朝」を開発した。名古屋城の金のしゃちほこをイメージソースにしている。「名古屋弁かるた」ほか、名古屋と縁の深い商品で使用されている。

シビックプライドを醸成するツールとしても期待される都市フォント

今年9月、鈴木氏が開発したのが東京シティフォントだ。これは日本デザインセンターのアートディレクター・色部義昭氏が提案する「東京の訪問者にとって分かりやすい街区表示」を実現するためにデザインされたフォントである。

東京シティフォントを東京の街区表示板に活用することで、都市を訪問する人に「東京」らしさを感じてもらうことだけでなく、そこに住む人々にも街への愛着やシビックプライドを醸成できるのではないかと考えている。

地名は、土地の来歴を示すサイン。「東京シティフォント」は、江戸の伝統を感じさせる痕跡を残すため、東京人と江戸っ子に共通する気質を、書体の属性に置き換えて開発された。

都市フォントは街区表示板だけではなく、屋内外のさまざまなメディアに活用できる。講演では、都市フォントやグラフィックデザインの活用が進んでいる海外の事例からフォントが街の一体感醸成に役立っていることを紹介。鈴木氏は、「都市が発信する情報の最小単位は文字であり、フォントは、シビックプライドを醸成する様々なコミュニケーションポイントをつなぐツール。都市フォントの活用の場が広がれば、都市のアイデンティティを、一貫性をもって分かりやすく伝えることができるのではないか」と話した。

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