本屋は最短でできる世界一周旅行
これまでにたくさんの編集者の方と仕事をしてきましたが、最近、独立して面白いことをやろうとしている編集者が増えているように感じます。独自の発想で、本や出版の可能性を広げようとしているんですね。それは、作家と編集者との関係が、会社ではなく個人として構築されているようになったからでもあるんだと思います。
そうした編集者たちが世の中に送り出す本は、やっぱり面白いものが多い。ただ、個人で立ち上げたような小さな出版社の本は、大きな書店では配本されなかったり、埋もれてしまいがちだったりします。だからこそ、一冊一冊、新刊情報を見て取り扱う本を決めるB&Bでは、おのずとそうした本が目立ってくるんです。
内沼とよく話すのは、本屋は最短でできる世界一周旅行だよね、ということです。B&Bも、海外文学から文芸、教育、食事、暮らし、旅、漫画などの本が店内中に並べられており、一周するだけで世界を一周りしたような気分になれます。また本屋でありながら、ビールはじめ飲み物が飲めて、家具も売っていて、ほぼ毎日イベントが開催されています。
B&Bで行うイベントのコンセプトは、2時間の“読書体験”なんです。本を読むことだけが読書体験ではないという考えから、本がある場所で、あえて本を読まなくても、およそ単行本1冊分の価格でイベントに参加し、読書が体験できる。そのような切り口はまだまだあると思います。新しい発想の本屋がもっともっと広まればいいなと思っています。
本記事は、『編集会議』2015年秋号に掲載されたものです。
木村綾子 B&B書店員
1980年生まれ。作家、本屋B&Bスタッフ。「太宰治検定」企画運営。中央大学大学院にて太宰治を研究し、以降、文筆業をはじめ、ブックディレクション、イベントプランニングなども幅広く行う。『水道橋博士のメルマ旬報』『LaLaBegin』連載中。Twitter:@kimura_ayako
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