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ダイレクトメールは受け手を優しい気持ちにさせる「手紙」——全日本DM大賞贈賞式開く

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今回で30回目を迎えるダイレクトメール(DM)の広告賞「全日本DM大賞」(日本郵便主催)の贈賞式が2月24日に開かれ、各賞の受賞者が発表された

冒頭に、電通エグゼクティブ・クリエーティブディレクターの澤本嘉光氏が登壇。数多くのヒットCMを手がけるクリエイターの視点から、DMの魅力と可能性について触れ、「DMには大きな可能性が広がっている」と強調した。

「行動」を促し「感情」を伴わせるメディア

■澤本嘉光氏スピーチ要旨

澤本嘉光氏(電通)

「DM」という言葉を最近よく使います。一つはもちろん「ダイレクトメール」の意味ですが、もう一つの「DM」に「デジタルマーケティング」があります。ダイレクトメールとデジタルマーケティング。手触りのあるものとないもの、この対極にあるものに同じ言葉が使われるというのはおもしろいと思います。「今の時代はDMだよ」と言うと、どちらにせよ当たっているのではないでしょうか。

ターゲットに確実にメッセージを届けられるのがダイレクトメールの特長です、その機能の一部が「デジタル」に置き換わるとも言われますが、僕はダイレクトメールの必要性がなくなるとは思いません。むしろ、アナログ的な手法とデジタルを組み合わせてどうコミュニケーションを設計していくかが鍵と言えるでしょう。

「紙ならではの良さ」とは、「実体がある」ということ。触る、開ける、組み立てるといった行動で価値を体験してもらうことができます。手に取ったときに優しい気持ちになるのは、例えばアナログレコードの良さがデジタル配信の時代に見直されていることに似ています。広告でメッセージを伝えつつ、「行動」と「感情」を伴わせることができる。このように五感に訴えることができる広告は他にそうそうありません。

会場で受賞作を見て、DMというのは手紙なのだと改めて感じました。僕自身も、絶対に(CMに)出てほしい俳優さんに依頼するときは手紙を書きます。ラブレターをもらうと好きになってしまうように、相手との1対1の関係性をつくることができる効率の良いメディアと言えるのではないでしょうか。

限られたターゲットにピンポイントにメッセージを届ける役割だけでなく、意外とマス広告との組み合わせも有効だと考えています。例えば、テレビCMを普通に見るより、DMを手にして見たほうがより深くメッセージが伝わるかも知れません。DMには様々な可能性が広がっています。(談)

母の日のカーネーションが転機に

グランプリに選ばれたのは、温泉旅館「山代温泉 宝生亭」(石川県加賀市)のDM。得意客の中から厳選した100人に、名前とキャッチフレーズを印刷した「金色のバッジ」を同封した。数々のユニークな施策を実行している専務取締役の帽子山宗氏は、「あるきっかけから、DMは心を届けるものだと実感するようになった」と述べた。

■帽子山宗氏グランプリ受賞コメント

グランプリを受賞した山代温泉 宝生亭の帽子山宗氏

素晴らしい賞をありがとうございます。皆さん「まさか」と思ったはずです。このDMもバッジもすべて僕の自作によるものでした。それが、まさかグランプリをいただけるなんて驚いています。

今回のDMの前に、ひとつの転機がありました。これまで旅館の売上を高めるためにマーケティングを学び、反応率などいろんなことを試行錯誤してきたのですが、うちの女将が「紙(のDM)ばかり送ってないで、ちゃんと心のこもったものを送りなさいよ!」と言うのです。

母の日にはカーネーションを贈りますが、当館は男性のお客さまが多いので、いつも送り出していただいている奥様にカーネーションを送りました。その反響がものすごく、感動したとわざわざお電話をいただいたくらいです。「もうあなたの旅館にしか行かせませんわ」と(笑)。DMは「心を届けるもの」だと実感するようになりました。

こうして賞をいただいたのも、今日も現場で一生懸命接客をしているスタッフや女将のお陰です。改めて感謝しています。(談)

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