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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

テレビはもはや「次に何が起こるかワクワクして見るもの」ではなくなっている

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その答えはモバイルシフトにある

答えを教えてくれたのは、博報堂DYメディアパートナーズ・メディア環境研究所の加藤薫さんでした。私が企画したセミナーで、加藤さんがしてくれた話がまさに、その答えになっていたのです。それをすべて紹介するのは無理なので、一枚だけスライドをお見せしましょう。

加藤さんの話をものすごくかいつまんで書きます。

ここ数年のメディア接触の変化は、モバイルとそれ以外に分けてとらえたほうがいい。急速に増大しているのは、ネットというより、モバイルに接触する時間なのだ。今、起こっている変化は、「モバイルシフト」ととらえるべきである。

モバイルシフトが起こると、メディア接触のスピード感覚が大きく変わり、「緩急」の差がものすごく開く。日常的には“ファストな”メディア接触となり、スマートフォン上で次から次にメディアを渡り歩き、どん欲にコンテンツをむさぼる。ある瞬間にスイッチが入ると、急にコンテンツをじっくり視聴して堪能する。その後またスイッチが入るとファストな接触に戻り次々にメディアを見ていく。

参考に、ふたりの女性のメディア接触の様子を一日中追った映像を見せてくれました。朝から晩までスマートフォンを肌身離さず、次々にメディアを巡ってコンテンツを消費し、ある時点で突然、録画した番組やVODなどで長時間の映像をどっぷり味わう。あるいは寝る前にベッドで横になりながらも、スマホでマンガをじーっと読む。そんな姿が、よくわかる映像でした。

これは若い世代の話ではありますが、多かれ少なかれどの世代にも起こっていないでしょうか。みなさん自分でも思い当たるところないでしょうか。私はまるで自分のことのように受けとめました。

せわしなくスマートフォンで情報に接触する。あらゆるニュースや業界記事やちょっと面白い映像を見て行く。次から次に、食い散らかすように見ています。ところが家でくつろぐ時にはhuluやNetflixでドラマの続きを2話続けて視聴する。ソファに寝そべってタブレットで気になる記事をじっくり読む。そんな生活です。

そうか、と思いました。だから私はクイズの答えを待たなくなったのか。次のコーナーに出てくる謎の人物を待たなくなったのか。メディアと自分の関係が変わっているのか。そうだ、私をスマートフォンが変えてしまった。

さっきの図を、自分に照らし合わせてもう一度じっくり見つめてみてください。そこに描かれているのは、きっとあなたの変化です。

クイズを待たなくなったのは、大きく開いた緩急の感覚の差の中で、答えが気になりCMタイム2分間を待つ、という行為が、中途半端な暗闇に入り込んでしまったからです。基本的には緩急の“急”のほうに合わせていかないと待ってくれない。引っ張るなんてやめて、答えをさっさと出すべきなのです。

もっと言えば、そもそも「放送」がメディア感覚として合わなくなっているのではないでしょうか。だって図にあるように「自分でスピードを調節して」メディアに接触したいんですよ。「情報環境を最適化したい」のですよ。「放送」なんて、9時ぴったりにテレビの前にきちんといないと最初から視聴できないなんて、ありえない!って話です。

いいですか?「放送」という形態は時代に合わなくなっているんです。

テレビ離れの話になると、テレビがつまらなくなったからだ、と真剣にいう人がいます。そういう面がないとも言えないでしょうけど、それとはまったくちがうレイヤーに真相があるんです。起こっているのは、「テレビ離れ」ではなく「放送離れ」なんですよ。

NOTTVが6月に終わるのも、VODが伸びてきたからと言ってるようですが、そもそも「放送」が伸びるはずなかったんです。だってよく考えたら、あれだけ知恵とお金をかけて放送されている地上波テレビが、視聴率が下がる一方なのに、それよりお金も知恵もかけられない新たな放送が、伸びる理由がないですよね。

そこで気になる話題がいま2つあります。

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